帰省したら、今年亡くなった祖父の遺産分割で孫にも「5万円」ずつもらいました。この金額なら“お小遣い”の範囲で、相続税は気にしなくても大丈夫ですよね…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月19日 4時20分
祖父が亡くなったときに、相続財産の中から孫が5万円を受け取ったら、相続税を支払うべきか、お小遣いとしてもらってよいのか判断に迷う人も多いのではないでしょうか。 本記事では、孫に相続財産を渡したときに相続税がかかるのかについて解説し、実際に孫が5万円受け取ったときの相続税額をシミュレーションします。
孫への相続は相続税が2割増!
遺産相続は、相続人以外にも行えます。例えば、夫・妻・子どもの家族では、夫が亡くなった場合の相続人は「妻と子ども」です。しかし、遺言など故人の意思や、遺産分割協議での話し合いにより、孫や兄弟姉妹、お世話になった友人など、相続人以外にも相続させることが可能です。
ただし、相続人以外が相続する際は、相続税が通常の2割加算となってしまうことは知っておきましょう。
相続税の基礎控除と、相続税の計算方法
もっとも、相続人以外が相続する場合でも、「基礎控除」が適用されるため、必ず相続税がかかるとは限りません。
相続税の基礎控除額は次の計算式で算出します。
基礎控除額=3000万円+(600万円×相続人の数)
実際に誰が相続したかに関わらず、基礎控除の計算に含まれる相続人の数は同じです。仮に、相続人(妻や子ども)が一切相続せずにすべて孫へ相続させたとしても、基礎控除の計算には影響しません。
そのため、相続人、相続人以外のどちらが相続した場合でも、相続財産の合計が基礎控除内であれば相続税は発生せず、基礎控除を超えていれば相続財産が発生します。なお、相続税は次の手順で計算します。
1.相続財産の総額を算出する
2.相続財産から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を算出する
3.各相続人が、法定相続分で相続したと仮定して、各人の取得金額を算出する
4.各相続人の法定相続額に応じた相続税額を算出する
5.法定相続分で相続した場合の相続税の総額を算出する
6.相続税額の総額を、実際に相続した額に応じて分配する
これは、実際に相続する人が誰であっても同じ手順で計算します。
相続税が発生するケースで5万円相続していたら?
では、実際に孫が5万円を遺産としてもらった場合に、支払う相続税額をシミュレーションしてみます。ここでは次の条件で試算します。
●故人は祖父で、遺産総額は6000万円
●相続人は妻(祖母)と子ども(伯父・父・叔母)3人
●祖母は2970万円、子ども3人は1000万円ずつ相続
●孫6人が5万円ずつ相続
前の項で解説した手順に当てはめると、次のようになります。
1.相続財産の総額は6000万円
2.基礎控除額は5400万円のため、課税遺産総額は600万円
(6000万円-5400万円=600万円)
3.法定相続分は妻が2分の1、子ども3人は6分の1ずつのため、祖母が300万円、3人の子どもが100万円ずつとなります。
4.法定相続分に応じた相続税率をかけて、相続税率を算出します。今回は全て税率10%となるため、祖母の相続税額が30万円、3人の子どもはそれぞれ10万円です。
5.相続税の総額は60万円です。
(30万円+10万円×3人=60万円)
6.孫が実際に相続した金額5万円は6000万円分の5万円のため、相続税額は500円です。さらに、孫は2割加算となるため、600円を納める必要があります。
(5万円/6000万円×60万円=500円、500円×1.2=600円)
この結果から、相続財産の大小にもよりますが、遺産の中から5万円を受け取ったときに納める相続税はそれほど大きな金額とはならないでしょう。ただし、相続財産が基礎控除額を超えており、相続税を支払う必要がある場合は、少額であっても必ず相続税の申告が必要です。
まとめ
孫への相続の場合でも、相続人への相続と同じように相続税が課税されます。相続財産が相続税の基礎控除内であれば、相続税の申告や相続税の支払いをする必要はありません。
しかし、基礎控除を超える相続財産がある場合は、相続した金額が5万円であっても申告や納税が必要です。孫への相続の際にかかる相続税は、通常の2割加算となりますが、5万円を相続したケースでは相続税はそれほど高額にはらないでしょう。
出典
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4155 相続税の税率
執筆者:古澤綾
FP2級
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