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「倒産です。給料は払えません」 突然の解雇通知を言い渡されました。泣き寝入りしなければいけないのでしょうか

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月20日 10時0分

「倒産です。給料は払えません」 突然の解雇通知を言い渡されました。泣き寝入りしなければいけないのでしょうか

会社が倒産し、まだ、受け取っていない給料がある場合、未払い賃金を得る方法のひとつに国(労働者健康安全機構)の「未払賃金立替払制度」があります。

未払賃金立替払制度

未払賃金立替払制度は、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティーネットです。企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者(国籍、雇用形態等を問いません)に対して、その請求に基づき、未払賃金の一部を労働者健康安全機構が立替払する制度です。
 
令和5年度の立替払状況を見ると、企業数は2132件、支給者数は2万4300人、立替払額は86億2100万円、支給者1人当たりの平均立替払額は35.5万円となっています。
 
この制度が適用となる企業とは、労災保険(労働者災害補償保険)が適用された事業として1年以上にわたり事業活動をしてきた企業となります。
 

「倒産」とはどのような状況をいうのか

「倒産」は、法律上の倒産をいいます。中小企業の場合には事実上の倒産も対象になります。
 
立替払制度の対象となる中小企業事業主の範囲は、中小企業基本法に規定する中小企業者の範囲と同じです(図1参照)。
 

図1

 
法律上の倒産は、

(1) 破産手続開始の決定(破産法)
 
(2) 特別清算手続開始の命令(会社法)
 
(3) 再生手続開始の決定(民事再生法)
 
(4) 更生手続開始の決定(会社更生法)

の場合をいいます。
 
一方、事実上の倒産(中小企業事業主のみ)は、事業活動において著しい支障が生じたことを原因に、労働者に対して賃金を払えない状態になったことについて、所轄労働基準監督署長が認定した場合をいいます(賃確法第7条、賃確令第2条第1項第4号)。具体的には、事業活動が停止しており、再開の見込みがなく、賃金支払い能力がない状態になった場合をいいます(賃確則第8条)。
 

労働者の要件

立替払の対象となる退職は、破産手続開始等の申立(事実上の倒産の認定申請)の6ヶ月前の日から2年間に、退職破産手続開始等の申立(事実上の倒産の認定申請)の6ヶ月前の日から2年間の退職です。
 
破産手続開始の決定等(事実上の倒産の認定)の日の翌日から、2年以内に立替払請求をする必要があります。
 

未払賃金の対象となる賃金

立替払の対象となる賃金は、退職日の6ヶ月前から立替払請求日の前日までに、支払期日が到来している未払賃金(定期給与と退職金(ボーナスは対象外)です。ただし、総額2万円未満のときは対象外です。
 
立替払の額は未払賃金総額の80%です。未払賃金総額は限度額があり、年齢によって異なります(図表2参照)。たとえば、退職日に35歳で未払賃金が300万円の場合は、立替払額は176万円となります。
 
労働者が未払賃金立替払制度により受けた金額は、定期賃金分、退職手当分を問わず原則としてすべて退職所得として課税されます (租税特別措置法第29条の4)。

図2

未払賃金の手続き

未払賃金の額等について破産管財人等から賃金未払い証明書の交付を受け、立替払請求書に必要事項を記入して労働者健康安全機構に送付します。
 
提出期限は、破産手続開始の決定等の日または労働監督署長の倒産の認定の日の翌日から2年以内です。
 
この制度は、全国の労働基準監督署等で実施しています。詳細は、最寄りの労働基準監督署等の未払賃金立替払相談コーナーにご相談ください。
 

出典

厚生労働省 未払賃金立替払制度の概要
独立行政法人 労働者健康安全機構 未払賃金の立替払事業
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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