中学生の子どもがいますが高校・大学と私立に通わせるお金はありません…。高校大学ともに公立ルートだった場合、大学卒業まで教育費用はいくらに収まりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月22日 5時20分
「高校や大学は学費が安い公立で十分。」そんな声を聞いて安心していませんか? 公立校の学費は確かに私立より安いですが、それだけで教育費の心配がなくなるわけではありません。実際には塾代や通学費など、見落としがちな費用がたくさんあります。 この記事では、公立ルートを選んだ場合の具体的な教育費と、負担軽減のための方法を解説します。
公立ルートを選んだ場合の学費はいくら?
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」によると、高校入学から大学卒業までにかかる子ども1人当たりの教育費用は、平均で942.5万円とされています。この金額は、授業料や教材費、入学金などの「入学・在学費用」を含んだものです。
ただし、この調査では私立学校も含まれているため、公立ルートを選んだ場合にはさらに費用を抑えることができます。
具体的に、公立高校と国公立大学を選んだ場合、学費の総額は以下の通りです。
公立高校3年間:約137万円
国公立大学4年間:約243万円
これらを合計すると、公立ルートで高校から大学を卒業するまでにかかる学費は、子ども1人につき約380万円となります。
公立進学でも意外とかかる追加費用とは?
公立ルートは私立よりもコストを抑えられますが、それでも以下のような追加費用には注意が必要です。
① 塾代・家庭教師代
高校受験や大学受験対策として塾や家庭教師を利用する家庭も多く、その平均額は年間30~50万円程度と言われています。特に受験直前期には集中講座などでさらに出費が増えることがあります。
② 通学費
公立校は地域によって通学範囲が広いため、交通費がかさむことがあります。特に電車やバスを利用する場合、定期代だけで年間数万円の負担になることも。通学距離や利用する交通機関を考慮して、事前に費用を見積もると安心です。
③ 部活動
運動部に所属すると、遠征費や合宿費、ユニフォーム代などの費用が必要になることがあります。特に競技レベルが高くなるほど、シューズやラケットといった用具の消耗が激しくなり、年間で数万円から数十万円に達する場合もあります。一方、美術部や吹奏楽部といった文化部でも、大会参加費や専用道具の購入費などが必要です。
これらを含めると、公立ルートでも追加で数十万円以上の支出が見込まれます。進学先の選択にあたっては、学費以外の費用も含めた総合的な資金計画を立てることが、家庭の経済的負担を軽減するポイントです。
教育費を抑えるために知っておきたい制度
教育費用を抑えるためには、計画的な情報収集と制度の活用が欠かせません。以下に実践的な方法を紹介します。
① 奨学金の活用
奨学金は、教育費用の負担を大幅に軽減する手段の一つです。以下の種類があります。
(1)日本学生支援機構(JASSO)
貸与型(返済が必要)と給付型(返済不要)の奨学金を提供しています。家計の状況や学力によって選択可能です。
(2)地方自治体や民間団体
地域限定の奨学金や特定の条件に基づく奨学金があります。たとえば、地域貢献活動を条件としたものや、特定の分野を学ぶ学生を対象にしたものがあります。奨学金は応募期間や条件が異なるため、早めに調査・申請を行うことが重要です。
② 学費免除・減額制度の利用
文部科学省の高等教育修学支援新制度では、経済的に困難な大学生等を対象に、授業料・入学金が免除または減額されます。支援額は学校種や通学形態によって異なります。
申請は年2回、在学中の大学等を通じて行います。支援継続には良好な学業成績が必要です。詳細は各大学窓口や日本学生支援機構のウェブサイトで確認できます。
③ 教育ローンの検討
教育ローンを計画的に活用することで、学費に伴う一時的な負担を軽減することが可能です。特に、政府系の教育ローンは金利が低く設定されており、日本政策金融公庫が提供するものがその一例です。
ただし、利用の際には家計への影響を考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。その際、シミュレーションツールを活用すると返済計画を具体的かつ現実的に組み立てることができます。
④ 自治体独自の支援制度の活用
一部の自治体では、授業料以外にも通学定期券代や教材購入費の補助など、さまざまな支援制度を提供しています。これらの制度を活用するには、居住地の自治体に直接問い合わせるか、公式ウェブサイトで詳細情報を確認しましょう。
まとめ
公立ルートを選んだ場合、学費そのものは大幅に抑えられるものの、塾代や通学費、部活動費などの追加費用が発生することを忘れてはいけません。これらを含めた総合的な資金計画が、教育費負担を軽減するカギです。
また、奨学金や学費減免制度、自治体の支援制度を早めにリサーチし、最大限活用することで、家計への負担をさらに軽減できます。積極的に情報を集め、さまざまな支援制度を利用することで、子どもの教育と家計の安定を両立させましょう。
教育は子どもにとっての未来への投資。その準備を、できることから始めてみてください。
出典
株式会社日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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