高齢の母の銀行口座が「認知症」を理由に凍結されました。「後見人」を立てればすぐに解除してもらえるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月22日 23時0分
認知判断能力がなくなってしまうと、その方の銀行などの金融機関の口座が凍結されます。基本的に、たとえ家族といえども口座からお金を引き出すことはできません。本記事では、そうした場合の対応方法について解説します。
認知症により口座が凍結された場合の対応方法
親が入院したり、施設にいたりしたとしても親に認知判断能力があり、親の同意があれば、金融機関と相談して親の口座の代理カードや親による委任状を作成することで、親の口座からお金を引き出すことができます。
しかしながら、親の認知判断能力がなくなってしまった場合には、親の口座が凍結されることがあります。その場合、基本的に親の口座から本人がお金を引き出すことができなくなるため、下記の対応を検討する必要があります。
(1)成年後見制度を使う
認知症、知的障害、精神障害などの理由で、財産管理や身上保護などの法律行為をひとりで行うことが困難な場合に、このような方々を法的に保護して、支援する制度を成年後見制度といいます。その制度を使えば、本人の口座からお金の出し入れやいろいろな契約や手続きをすることが可能になります。詳しくは、次の章で見ていきます。
(2)日常生活自立支援事業を利用する
日常生活自立支援事業とは、「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うもの」とされています(出典:厚生労働省「日常生活自立支援事業」)。
したがって、もし認知症になったとしても、日常生活自立支援事業を利用することで、預金の払い戻しや預金の解約などの日常的金銭管理のサポートを受けることが可能です。
日常生活自立支援事業を利用する際には、都道府県・指定都市社会福祉協議会(窓口業務等は市町村の社会福祉協議会等で実施)に申請(相談)をすることで利用が可能です。また、実施主体が定める利用料を利用者が負担する必要があります。ただし、契約締結前の初期相談等にかかる経費や生活保護受給世帯の利用料は無料となっています。
「後見人」を立てる
前の章で説明しましたが、成年後見制度を利用すれば、成年後見人に選ばれた方を通して、認知症になった方の口座からお金を引き出すことができます。
ただし、成年後見人は、親族だけでなく、福祉や法律の専門家や専門的な研修を受けた地域の人などの中から、家庭裁判所が本人にとって最も適任だと思われる方を選任しますので、必ずしも子どもの希望どおりにはいきません。
また、お金を引き出すにも、成年後見人と相談する必要がありますので、勝手に引き出すことはできません。たとえ、成年後見人と折り合いが悪かったとしても、一部の事象を除いて成年後見制度は途中でやめられないので、留意をする必要があります。
加えて、申し立てにかかる費用以外にも、後見人に報酬を支払うことになりますので、こういった費用面も含めて検討をする必要があります。
成年後見制度を利用する際は、お住まいの市町村の相談窓口、地域包括センター、社会福祉協議会、成年後見センターなどに相談をするとよいでしょう。
まとめ
親が認知症になって、口座が凍結されたら、成年後見制度や日常生活自立支援事業を利用すれば、お金を引き出すことが可能になります。
ただし、成年後見人を立てた場合に、お金の引き出しは、成年後見人と相談する必要があり、金額などは相談の結果によります。また、制度の申し立てや成年後見人への報酬などの費用がかかります。利用にあたっては、お住まいの市町村の相談窓口などに相談しましょう。
出典
全国銀行協会 金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)
厚生労働省 日常生活自立支援事業
厚生労働省 成年後見制度とは
厚生労働省 自分ひとりではよくわからない!?そんな時でも安心してくらせるために。成年後見制度
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
大手都市銀行でも発覚。“法的根拠のない独自マニュアル”を作成…後見制度を巡る銀行の「致命的な3つの誤対応」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月18日 11時15分
-
「解約も下ろすこともできません!」銀行から突き放され…認知症親の財産、8割が“他人”に握られる後見制度の〈恐ろしい実態〉
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月16日 10時15分
-
【実例付きで解説】「旅行は無駄遣い」「ケーキは贅沢」赤の他人に財産を握られ暴言の嵐…後見制度が招く“とんでもない事態”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月9日 7時15分
-
家族の財産が“見ず知らずの人の手”に…「成年後見制度」が引き起こす衝撃の実態
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月6日 10時15分
-
認知症になると、預金の引き出しや不動産の売買などができなくなると聞きました。こういうとき、どのような制度を利用すればいいのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月27日 2時0分
ランキング
-
1「大胆に踏み込んだ変革必要」ホンダと日産、経営統合へ協議入り 基本合意書を締結
日テレNEWS NNN / 2024年12月23日 18時17分
-
2コメ価格高騰で外食チェーン値上げ相次ぐ はま寿司、デニーズ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月23日 21時41分
-
3「レクサス」のEV新工場を上海に、トヨタが単独出資建設で最終調整…認可ならテスラに続き2社目
読売新聞 / 2024年12月23日 22時30分
-
4お金が貯まらない家の「寝室」には大抵コレがある…片付けのプロが証言「お金持ちの家には絶対にないもの」
プレジデントオンライン / 2024年12月23日 17時15分
-
5為替相場 24日(日本時間 8時)
共同通信 / 2024年12月24日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください