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個人年金を受け取るときに、源泉徴収される人とされない人がいると聞きました。この違いは何ですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年12月24日 23時0分

個人年金を受け取るときに、源泉徴収される人とされない人がいると聞きました。この違いは何ですか?

同じ個人年金でも、年金支払時に源泉徴収される場合とされない場合があります。個人年金保険の年金受取時の税金について解説します。

個人年金保険

個人年金保険は積立型の保険で、60歳や65歳などあらかじめ定めた年齢から年金を受け取れる金融商品です。被保険者が生存している場合に年金を毎年受け取れるタイプ(有期年金)や、被保険者の生死にかかわらず一定期間の年金受け取りを保証されるタイプ(確定年金)、保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金を受け取れ、その後は被保険者が生存しているかぎり一生涯年金を受け取れるタイプ(保証期間付終身年金)などがあります。
 
なお、初回の年金受取開始日までに被保険者が死亡すると、死亡給付金受取人が死亡給付金を受け取れます。
 

個人年金保険と税金

保険料の負担者と年金の受取人が同一の場合には、公的年金等以外の雑所得として所得税・住民税が課税されます。雑所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除した金額です。
個人年金保険に当てはめると、その年中に支払いを受けた年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額になります。
 
個人年金保険の雑所得の計算は、具体的には次の計算式により行います。

(1)収入金額:年金年額(基本年金+増額年金)
(2)必要経費:その年金の額に対応する保険料または掛金の額(※1)
(※1)年金年額×必要経費割合(支払保険料総額÷年金支払総額の見込額)
(3)雑所得の金額=(1)−(2)

(2)必要経費の「年金支払総額の見込額」は、年金の種類によって以下のようになります。

a. 終身年金の場合:年金年額×余命年数
b. 確定年金の場合:年金年額×支給期間
c. 保証期間付終身年金の場合:年金年額×(余命年数と保証期間年数とのいずれか長い年数)
d. 有期年金の場合:年金年額×(支給期間と余命年数のいずれか短い年数)

雑所得の金額が25万円以上の場合、所得税・復興特別所得税として10.21%が源泉徴収されます。ただし、契約者と年金受取人が同一でない場合は、源泉徴収されません。
 
なお、年金から所得税が源泉徴収された場合でも、源泉分離課税とは異なるため、確定申告をすることによって精算できます。所得が少なく本来税金のかからない人は、確定申告して税金を取り戻しましょう。
 

個人年金受取時の計算例

40歳のときに10年保証期間付終身年金を契約し(月額保険料4万円)、60歳から年金年額84万円を受け取る場合の個人年金保険の税金を計算してみましょう。
 
収入金額は、84万円です。
 
必要経費は、「年金年額×支払保険料総額÷年金支払総額の見込額」で求めます。
「支払保険料総額」は、960万円(4×12×20)となります。
「年金支払総額の見込額」は保証期間付終身年金の場合、年金年額×(余命年数と保証期間年数とのいずれか長い年数)なので、計算すると1596万円(84万円×19年)となります。
「支払保険料総額÷年金支払総額の見込額」は0.61(小数点第3位以下切り上げ)なので、必要経費は51万2400円(84万円×0.61)となります。
 
以上より、雑所得の金額を計算すると32万7600円となり25万円を超えます。源泉徴収税額は3万3447円(※2)です。
(※2) (84万円−84万円×0.61)×10.21%
 

まとめ

年金が支払われる際は、雑所得が25万円以上の場合、所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。
年金から所得税が源泉徴収されても、預金等の源泉分離課税とは異なるため、確定申告をすることによって精算することができます。所得が少なく本来税金のかからない人は、確定申告して税金を取り戻しましょう。
 

出典

国税庁 No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金
公益財団法人生命保険文化センター 税金に関するQ&A
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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