老後の「お金の使い方」理想と現実はどう違う?70歳以降の「貯蓄額」平均はいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月28日 4時10分
老後に理想の生活が送れるか不安に思っている方もいるでしょう。老後といわれる年齢までに、どの程度まで貯蓄できるか気になるところです。なかには「老後の収入と支出が気になる」という方もいるかもしれません。 そこでこの記事では、2人以上世帯における70歳以上の平均貯蓄額や負債がどの程度なのか解説します。夫婦2人世帯の老後における月の平均収入や生活費の内訳などもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。老後の人生が気になる方は、早いうちから備えましょう。
老後の「お金の使い方」の理想は?
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で経済的にゆとりのある老後生活を送るために必要と考えられる金額は1ヶ月当たり平均で37万9000円となっています。
また、老後のゆとりのための上乗せ額の使途は「旅行やレジャー」と答えた方が最も多く、60.0%いることが分かりました。そのほかの結果は以下の通りです。
・旅行やレジャー:60.0%
・日常生活費の充実:48.6%
・趣味や教養:48.3%
・身内とのつきあい:46.2%
・耐久消費財の買い替え:31.7%
・子どもや孫への資金援助:19.4%
・隣人や友人とのつきあい:12.5%
・貯蓄:3.9%
・その他:0.3%
結果を見ると「日常生活費の充実」「趣味や教養」「身内とのつきあい」が50%近く、僅差であることが分かります。
老後の「お金の使い方」の現実は?
ここからは、現実的な「老後のお金の使い方」について見ていきましょう。総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における実収入は月平均24万4580円だと分かりました。
公益財団法人生命保険文化センターの調査より、ゆとりある老後の生活費は1ヶ月当たり37万9000円と考えられているため、実際の実収入の平均月額と比べて13万円以上が不足しています。
一方で、総務省統計局の同調査によれば、実収入と、消費支出および非消費支出の合計との差が月3万7916円あることも分かりました。なお、実収入の内訳は89.3%が社会保障給付(年金など)で、消費支出の内訳は以下の通りです。
・食料:29.1%
・住居:6.7%
・光熱・水道:8.9%
・家具・家事用品:4.2%
・被服および履物:2.1%
・保健医療:6.7%
・交通・通信:12.2%
・教養娯楽:9.8%
・交際費:9.7%
・その他:10.6%
このことから、生活費の支出で最も多いのは食費で、被服および履物にはお金がほとんど使われていないことが分かります。
70歳以上の平均貯蓄額と負債額
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、70歳以上の2人以上の世帯における平均貯蓄額は2503万円、負債額は78万円であることが分かりました。40歳未満~70歳以上を比較して見ても、70歳以上の貯蓄額は最も多く、負債額は最も少ない結果です。
全ての世代を合わせた貯蓄額の平均額は1904万円で、負債額が655万円となっているため、平均と比較しても、70歳以上の貯蓄額は多く負債額は少ないといえるでしょう。
ただし、前述の通り、ゆとりある老後生活には毎月およそ13万円不足しているため、不足分は貯蓄から切り崩して生活する必要があります。貯蓄から負債を差し引いた純貯蓄額より毎月13万円を切り崩して生活すると、純貯蓄額の2425万円を使い切るのは約16年後です。
70歳以上の貯蓄額平均は2503万円
総務省統計局の調査によれば、70歳以上の貯蓄額平均は、ほかの世代と比べて最も多い2503万円程度です。一方で、負債の平均は78万円となっており、ほかの世代と比べて最も少ないことが分かりました。
夫婦2人のゆとりある老後生活費には毎月37万9000円程度必要と考えられていますが、実際の老後における平均収入は24万円程度となっています。そのため、ゆとりのある生活をするには貯蓄を切り崩す必要があり、純貯蓄額を切り崩して生活すると約16年で使い切ってしまうでしょう。
老後に理想の生活を送るためには、若いうちからより多くの貯蓄をしておいた方がよさそうです。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第III章 老後保障 2.老後生活に対する意識 (4)老後のゆとりのための上乗せ額の使途(113ページ)、(5)ゆとりある老後生活費(115ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)(4ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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