老後資金「2000万円」準備できて安心と思いきや、インフレで20年後は「2972万円」必要に!? 現金の価値の“目減り”について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月28日 5時0分
老後2000万円問題が話題になって以降、「貯蓄2000万円」が老後生活へ向けた一つの目標となっている人もいるでしょう。しかし、インフレを考慮すると、想定とは異なった試算結果になるかもしれません。 もちろん未来のインフレ状況は不明瞭であるため精緻な計算はできませんが、本記事では仮にインフレ率が2%で上がり続けた場合、現金の価値がどれほど目減りしてしまうのか解説します。ぜひ参考にしてみてください。
これまでの日本のインフレ状況
OECDデータを基に野村アセットマネジメントが公表しているデータによると、1973~2022年(年次)の50年間の国内インフレ平均値は「2.3%」です。また、日本銀行は毎年「2%」の物価上昇目標を掲げているため、老後の目標資産を検討する際には、この毎年「2%」の物価上昇を念頭に置くと、よりよいでしょう。
毎年2%ずつ物価が上昇する場合
物価が上昇すると、相対的に現金の価値は目減りしてしまいます。ここでは毎年2%ずつ物価が上昇すると仮定してみます。例えば「100万円」の現金を20年間保有した場合、20年後の実質的価値は「67万円」になってしまいます。
もちろん現金の額面は「100万円」のまま変化はありませんが、物価が上がり続けると現金の実質的価値はどんどん目減りしていきます。
毎年2%ずつ物価が上昇した場合の老後資産シミュレーション
毎年2%の物価上昇を前提に、20年後に、現在価値「2000万円」貯めることを目標とする場合、「約2972万円」の額面金額を貯蓄しておく必要があるという試算結果になります。当初の「2000万円」という数字と比較すると金額が「972万円」も増える結果となりました。
物価上昇に対応できる資産形成も検討すべき
銀行などに現金を積み立てるだけでは、現金の価値が目減りしていってしまうため、物価上昇に対応可能な資産形成を検討すべきと言えます。具体的には日本銀行が目標としている物価上昇「2%」に耐えられるよう、「毎年2%」以上の利回りを目指すことのできる資産運用を選択肢に入れるべきです。
現在はNISAやiDeCoといった税制優遇を受けながら資産を運用できる手段があります。もちろん100%元本が増えるという保証はないため、各自のリスク許容度の範囲内で行う必要はありますが、現金のまま積み立てるよりも効果的な資産運用となり得ます。
まとめ
「貯蓄◯◯万円」という目標設定は、明確で分かりやすいですが、老後に向けてより安心できる資産形成を行いたい人は、物価上昇を念頭に置くとより良いでしょう。
また、老後の年金についても、継続している少子化の影響を鑑みると、満足な受給ができない可能性が高いです。一昔前には「老後は年金で安泰」という時代があったかもしれませんが、これから老後を迎える世代にはきっと当てはまりません。「自分の老後には自分で備える」時代です。NISAやiDeCoをはじめとした資産形成などをぜひ検討してみてください。
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
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