保険選びの間違いが家計を圧迫!社会保険と民間保険のカバー範囲を整理して、賢く節約する方法
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月29日 23時20分
個人を対象とした保険には、強制保険である「社会保険」があります。そして、強制保険である社会保険と、任意で個人が加入できる民間保険を比較すると、さまざまな保障が重複しています。私たちが、「必要な保険と不要な保険」を現実に即して考える場合には、社会保険でカバーしていない保障を提供する民間保険が「必要な民間保険」になります。 本記事では、「必要な民間保険と不要な民間保険」について、社会保険との重複に焦点を絞って要約していきます。
日本の社会保険制度と日本の社会保険の種類
日本の社会保険制度は、国民の生活リスクを軽減し、安定した社会を実現するための重要な仕組みです。日本の社会保険は、国民に対して義務付けられた強制保険制度で、以下の5つ種類があります。
1. 医療保険(健康保険):病気やけが、出産時の医療費をカバーします。一般的に、医療費の自己負担比率は3割です。例えば、入院や手術にかかる費用の一部が保険から支払われ、残りを自己負担します。
2. 厚生年金保険:老齢、障害、死亡に備える年金制度であり、労働者は給与から一定の割合が保険料として天引きされます。年金受給は、老後の生活を支えるために重要です。
3. 介護保険:40歳以上の人が加入し、要介護状態になった場合に、介護サービスを提供します。高齢化社会において、介護保険の役割はますます重要性を増しています。
4. 労働者災害補償保険(労災保険):業務中や通勤中のけがや病気をカバーし、治療費や休業補償が支給されます。この制度は、労働者の安全と健康を保護するために設計されています。
5. 雇用保険:失業時に一定期間、失業手当を受け取ることができる制度で、求職者を支援します。労働市場の変動に対するセーフティーネットとして機能します。
これらの制度は、国民に対して一定水準の生活を保障する役割を果たしています。
社会保険のライフサイクルにおける役割
社会保険は、人生の異なる段階で、異なる役割を果たします。
●0~20歳:出産・育児に関する給付や教育支援が行われます。子ども手当や育児休業給付金などが、代表的な制度です。
●21~64歳:主に保険料を負担する世代であり、医療費や年金制度の維持に寄与します。この世代は、将来の年金受給者を支える重要な役割を担っています。
●65歳以上:老齢年金や介護サービスの受給が、主な支援となります。この世代は、社会保険制度の恩恵を直接受けることが多く、年金や介護サービスの充実が求められます。
このように、社会保険は世代間での扶養を実現する仕組みになっています。
社会保険と民間保険の関係
社会保険は基本的な保障を提供するため、契約者が任意で加入する民間保険を考える際には、保障範囲の重複を避ける必要があります。
例えば、公的医療保険における傷病手当金は、被保険者が病気やけがで働けない場合に支給されます。この制度により、経済的な不安を軽減し、治療に専念できる環境を提供します。傷病手当金は、休業前の標準報酬月額に基づいて計算され、最長で1年6ヶ月支給されます。
一方で民間保険は、社会保険ではカバーされない部分を補完するためのものです。そのため、傷病手当金のない国民健康保険に加入する自営業者やフリーランスの人にとって、民間保険は重要です。例えば、収入の一部を保障する「所得補償保険」は、公的医療保険の保障が不十分な場合に役立ちます。
高額療養費制度
高額療養費制度は、医療費が一定額を超えた場合、その超過分を払い戻す制度です。自己負担限度額は、所得により異なります。この制度によって医療費の急激な増加による経済的負担を軽減することができ、民間医療保険に加入する必要性は低くなることがあります。
高額療養費制度を前提とした民間医療保険の利用方法
■加入しない選択肢:高額療養費制度によって医療費リスクが小さくなった場合、民間医療保険に加入せずに貯蓄で賄う「自家保険」という方法があります。
■民間保険に加入する選択肢:
・自己負担限度額をカバー:例えば年収370~770万円の人は、月8万円程度までは医療費を自己負担することが必要です。これに備えるために、少額の保障がなされる民間保険に加入するのも、ひとつの方法です。
・公的保険でカバーされない費用に備える:差額ベッド代や入院中の食事代などの費用に、民間保険で備えることも考えられます。
・先進医療のカバー:公的医療保険対象外となる先進医療に備えるために、先進医療特約を付ける選択肢もあります。
まとめ
日本の社会保険制度は、生活のリスクに対して強力な保障を提供します。民間保険を考える際には、社会保険の内容を理解し、それに対して補完的な保険を選ぶことが重要です。特に、必要な民間保険を選ぶ際には、社会保険で保障されているリスクを十分確認し、重複を避けることが重要です。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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