4000万円相続したのに「相続税」の支払いを忘れ、期限が「3ヶ月」過ぎていました…どんなペナルティがあるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月7日 4時0分
相続税は確定申告や年末調整などとは異なり、相続開始日が申告・納付期限の起点となるため、申告はしたもののうっかり納税を忘れてしまうこともあるでしょう。もし期限までに支払わなければ、追加で税金が課される可能性があります。 支払う金額をこれ以上増やしたくないなら、なるべく早い納税が必要です。今回は、相続税の支払いを忘れたときのペナルティーや、支払えないときの対応策などについてご紹介します。
相続税の支払いを忘れるとどうなる?
相続税に限らず、税金の支払いを忘れて期限を超えると、「延滞税」が課されます。延滞税とは、期限から過ぎた日数に応じて利息に相当する税額が課されていく税金です。
延滞税の税率は、滞納をした期間や時期に応じて表1のように変わります。
表1
納付期限の翌日からの経過日数 | 平成30年1月1日~令和2年12月31日 | 令和3年1月1日~令和3年12月31日 | 令和4年1月1日~令和7年12月31日 |
---|---|---|---|
2ヶ月を経過する日まで | 年2.6% | 年2.5% | 年2.4% |
2ヶ月を超えた日以降 | 年8.9% | 年8.8% | 年8.7% |
※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.9205 延滞税について」を基に筆者作成
また、延滞税の税額を求める手順は以下の通りです。
1.(期限までに本来納めるべき税額の1万円未満を切り捨てたもの×税率×期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの日数)÷365日(1円未満を切り捨てる)
2.(期限までに本来納めるべき税額の1万円未満を切り捨てたもの×税率×期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降の日数)÷365日(1円未満を切り捨てる)
3.1と2を合算する(100円未満を切り捨てる)
平成30年以前の期間もあるときは、税率が異なるため注意が必要です。また、相続税の申告期限は、相続が開始したことを知った日(亡くなったことを知った日の翌日)から10ヶ月です。期限を過ぎると無申告扱いになり、延滞税とは別に加算税も課される可能性があります。
4000万円相続して納付期限を3ヶ月過ぎたときの税額
今回は、以下の条件で金額を計算しましょう。
●相続財産は4000万円
●法定相続人数は1人
●納付期限は令和6年3月1日
●実際に支払った日付は令和6年6月1日
まず、相続財産にかかる本来の税額を求めます。相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人数×600万円」なので、3600万円を引いた400万円が課税金額です。400万円のときの相続税率は10%なので、税額は40万円になります。
納付期限の翌日から計算するため、「40万円×2.4%×61日(3月2日~5月1日)÷365日」と「40万円×8.7%×31日(5月2日~6月1日)÷365日」となり、100円未満は切り捨てるので延滞税は合計4500円です。本来の相続税額と合算すると、40万4500円を納付する必要があります。
相続税を支払えないときの対応策はある?
もし経済的な事情で、申告した相続税を支払えないときは延納制度や物納制度を利用できないか確認しましょう。
延納制度とは、相続税額が10万円以上かつ金銭での納税が難しい場合に、金銭で支払えない範囲を上限として年賦払い(毎年一定額ずつ支払う方法)ができる制度です。ただし、延納制度を利用すると、利子税が追加で課されることに加え、担保も提供する必要があります。
一方、物納制度は延納制度を活用してもなお金銭での納税が難しい場合に利用できる制度です。延納制度を活用しても支払いが難しい範囲を上限として、納付の要件を満たしている相続財産から支払えます。ただし、物納的各財産であるなど、一定の要件を満たしたものに限られるため確認が必要です。
どちらの制度も納付期限までに申請が必要です。相続したときに、税金を支払えない可能性があるときには、できるだけ早く申請書や必要書類を提出しましょう。
支払期限を過ぎると延滞税が課される
税金を支払期限までに支払わなければ、延滞税の課税対象になります。延滞税は滞納期間が長いほど金額も増えていくため、少しでも税金負担を軽くしたいならできるだけ早く納付しましょう。
前述の条件で3ヶ月滞納すると延滞税が4500円追加で課されることが分かりました。一方で、相続財産の金額によっては相続税額が非常に高くなり、納税できないケースも考えられます。金銭での一括支払いが難しいときは、納付期限までに延納制度や物納制度の申請をしましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.9205 延滞税について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【会社設立の予備知識】健全な経営のために知っておきたい「法人の税務」【司法書士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月14日 21時10分
-
相続する財産が不動産だけで相続税を納めるお金がないかも。今からできる対策は?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月7日 23時0分
-
「生前贈与」で住宅を購入も…贈与税はどうなる?税負担を抑える〈4つの非課税制度〉
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月25日 7時15分
-
父が亡くなってから1年を過ぎましたが、物置から「現金300万円」入った金庫を発見!ずいぶん時間がたっているしこのままもらってもいいですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月25日 6時10分
-
就職祝いとして息子に50万円の時計をプレゼントしました。高価なものを買ってあげると贈与税がかかると聞いたのですが、今回は税金がかかるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月21日 4時20分
ランキング
-
1芸能人なぜ呼び捨て?「日本語呼び方ルール」の謎 日鉄会長の「バイデン呼び」は実際に失礼なのか
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 9時20分
-
2急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
3高齢者は「体重」が重要…標準を下回ると死亡リスクが急上昇
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
4「室内寒暖差がつらい…」その要因と対策が明らかに! - 三菱電機が紹介
マイナビニュース / 2025年1月14日 16時10分
-
5感染症の家庭内感染を防ぐために…温度と湿度、入浴、食事はどうしたらいいのか?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください