4月から社会人になります。これからの人生で必要なお金について考え始めたのですが、一生暮らしていくためにはどのくらい必要なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月8日 9時20分
社会人になりたては給料がそれほど多くなく、将来のためのお金は準備できるだろうかと不安に感じる人もいるでしょう。会社員時代に稼げるお金や一生に必要なお金は、一体どれくらいなのでしょうか。 本記事では、会社員の生涯賃金の平均額や一生に必要な金額の目安を紹介するとともに、稼ぐだけでは足りないお金を補うコツも解説します。
退職金を含めた生涯賃金はどのくらい?
労働者が、一生のうち(一般的には学校卒業後〜定年または引退まで)に稼ぐ賃金の総額を「生涯賃金」といいます。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2023 ―労働統計加工指標集―」によると、大卒者、高卒者の生涯賃金は図表1のとおりです。
【図表1】
定年(60歳)まで・退職金を含めない | 退職金、定年以降の賃金を含む | |||
---|---|---|---|---|
大卒 | 高卒 | 大卒 | 高卒 | |
男性 | 2億4740万円 | 2億300万円 | 3億2020万円 | 2億6020万円 |
女性 | 1億9800万円 | 1億4920万円 | 2億5370万円 | 1億8910万円 |
※独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023 ―労働統計加工指標集―」より筆者作成
新卒で就職してから会社員時代の40年間で稼げる金額は、男性の場合、約2億~2億5000万円、女性の場合は約1億5000万円~2億円が目安であることが分かります。
ただし、生涯賃金は勤める企業の規模にも左右されます。例えば大学卒男性の定年までの生涯賃金(退職金を含めない)は、1000人以上規模の企業では約2億9000万円、10~99人規模で約2億円と、9000万円もの開きがあります。大学卒女性の場合も1000人以上規模の企業が約2億3000万円なのに対して、10~99人規模の企業では約1億7000万円です。
生涯に必要なお金は日常生活費とライフイベントごとに発生する費用の2つ
一生暮らしていくために、必要な金額をおおまかに試算してみましょう。総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年」によると、全世帯の1ヶ月当たりの生活費は平均約25万円です。1年間では約300万円、20~100歳までの80年間では2億4000万円必要となる計算になります。
このほかに、人生の3大費用と呼ばれる次の費用も考慮しなければなりません。
・子どもの教育費
・住宅購入費
・老後費用
子どもの教育費用は、子どもの人数や進学する学校、習い事や塾などの内容によって異なりますが、一般的には子ども1人当たり1000万円といわれています。ただし、この金額はすべて国公立に通う場合なので、私立に通う場合の費用はさらに膨らみます。
また、住宅購入費は国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、新築で平均4700~5800万円ほど、中古住宅でも平均2800~3000万円ほどとなっています。
老後の生活費は上記の生活費の計算に入っていますが、多額の医療・介護費用が必要となるケースや、高額の老人ホームなどに入居する場合などには平均以上の生活費が必要となることが考えられるでしょう。
以上を考え合わせると、結婚の有無やパートナーの収入、子どもの有無などにもよるものの、会社員時代の収入だけで一生の暮らしを支えるのは難しい可能性があります。
生涯賃金の不足を上手に補うコツは?
生涯賃金の不足を補って老後を安心して過ごすには、老後に得られる年金などの収入を含めた場合にどのくらい不足しそうかを具体的に見積もってみることが大切です。そのうえで、家計のムダを省いて計画的に貯蓄や資産運用をし、備える必要があります。
例えば、iDeCoやNISAなど国の制度を活用した資産形成や、個人年金保険などの活用も選択肢になるでしょう。
生涯のライフプランを見通して老後までの資金に備えよう
新卒で就職してから退職するまでには、さまざまなライフイベントが発生し、家族構成やお金の使い方なども大きく変化していきます。若いうちに老後の資金まで見通しを立てるのは、難しいことでしょう。
しかし、自分なりのプランを持って早くから計画的に将来の資金を備えておくのは大切なことです。自分の一生をまかなうのにはどのような稼ぎ方、貯め方、使い方が必要か、シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
出典
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2023 ―労働統計加工指標集―
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
財務省中国財務局 ライフプランと人生の3大費用
国土交通省 令和5年度 住宅市場動向調査 報告書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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