50代独身で仲のよい家族もいません。資産は死後「法人・団体」に寄付したいのですが、贈与税はかかるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月11日 9時50分
老後生活の備えとして、資産形成に励む方も多いのではないでしょうか。築いた資産は残される家族にとって有益なものですが、独身で仲のよい家族がいない場合、その人たちに無理に資産を渡すのは気が引けるでしょう。 そこで、資産を法人や団体に寄付をする場合、税金負担は生じるのか……。本記事では、遺贈概要と税金について解説します。
まだまだ日本では一般的ではない「遺贈」とは
遺贈とは、遺言書を用いて相続財産を他者に引き継ぐことです。遺言書がない状況で相続が発生した場合に、相続財産を引き継ぐのは法定相続人だけとなりますが、遺言書に遺贈することを記載し、相続先を指定すれば法定相続人でなくても相続財産を引き継ぐことができます。
遺贈には2つの種類があります。以下で、それぞれについてみていきましょう。
特定遺贈
特定遺贈は、財産を誰に何を渡すか具体的に指定するものです。例えば土地はAという人に、有価証券はBへというような場合です。遺言書にしていないかぎり、受遺者が負の財産を引き継ぐことはありません。
包括遺贈
包括遺贈は財産全体に対する割合を示して行うもので、例えば「財産の2分の1を遺贈する」といったものになります。全ての財産には債務も含まれるため、受遺者は負の財産を引き継ぐことがあります。
遺贈には遺言書が必要ですが、公益財団法人日本財団(東京都港区)による「遺贈に関する意識・実態把握調査」によると、遺贈について認知している人は55.4%でした。遺贈をしてみたいかという問いに対しては、関心がある人が23.8%いる一方で、無関心が76.3%という結果でした。
この結果から、日本では遺贈がまだまだ一般的ではないといえるかもしれません。
遺贈にかかる税金と事前に注意すべきこと
遺贈は、贈与税ではなく相続税がかかります。また、遺贈にはいくつか注意点があるのでそれらもみてきましょう。
注意点
・民法上において口頭での遺言は無効になるため、遺贈は遺言書の作成が必要
・受遺者が配偶者及び一親等の親族以外の場合は、受遺者に対し税額が2割加算になる
このように遺贈には必ず遺言書を作成することと、受遺者の税金負担が大きいことが注意点です。前述のように包括遺贈では負の財産も受遺者が引き継ぐことがあるので、自身の財産の全てを適切に把握しておく必要があることも、しっかりおさえておきましょう。
法人・団体の場合は?
ただし、遺贈には非課税枠が設けられています。国税庁によると、遺贈より取得した財産を相続税の申告期限までに、国や地方公共団体、公益を目的とする事業を行う特定の法人または認定NPO法人に寄付した場合や、特定の公益信託の信託財産とするために支出した場合は、その財産や支出した金銭を相続税の対象としないとしています。
そのため、今回のように独身で法人や団体に寄付をすることを検討している場合は、税金がかからない可能性があります。遺贈先が非課税の対象かしっかり調べておくとよいでしょう。
まとめ
ここまで、遺贈についての税金と注意点を解説しました。特定の人物に遺贈する場合は、相続税の負担が多く発生しますが、国や地方公共団体、法人の場合は非課税で遺贈できる場合があります。一生懸命築いた資産を遺贈する場合は税金面の負担にも注目してみるのもよいでしょう。
出典
公益財団法人日本財団 遺贈に関する意識・実態把握調査 要約版 2023年1月5日
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4157 相続税額の2割加算
国税庁 No.4141 相続財産を公益法人等に寄付した時
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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