バイトをしているコンビニでは廃棄商品の持ち帰りは禁止されています。もう捨てる商品なのになぜダメなのでしょうか? 捨てるほうがもったいない気がします。
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月14日 5時0分
コンビニで働いている人が、廃棄商品を持ち帰ることはできません。「もう捨てられる商品なのに、なぜ従業員は持ち帰ることができないのか。」「持ち帰ることができれば廃棄にはならないのに、もったいない」などと思うでしょう。 本記事では、コンビニの廃棄品を持ち帰ることが禁止されている理由を詳しく解説します。
コンビニで廃棄商品の持ち帰りが禁止される理由
コンビニで廃棄商品を持ち帰ることが禁止されている理由には、以下の3つの要因があります。
健康リスクの防止
生鮮食品やお弁当など、消費期限が設定されている商品は食中毒のリスクがあります。消費者の健康を守るために、廃棄商品の持ち帰りが禁止されていると考えられます。
消費期限を過ぎると安全性が確保できなくなるため、廃棄された商品を持ち帰るのは危険です。一方、賞味期限は品質の目安であり、過ぎてもすぐに食中毒のリスクが生じるわけではありませんが、早めに食べることが推奨されます。
不正行為を防ぐ
廃棄商品を自由に持ち帰れると、スタッフが意図的に商品を余分に発注して廃棄し、その分を持ち帰って家族や友人に渡すなどの不正を行う可能性があります。
このような不正を行えないようし、店舗の利益を守るためにも、廃棄商品の持ち帰りを制限しているのです。
法律的な問題
廃棄された商品も店舗の財産であり、オーナーの許可なしに持ち帰ることは法律に抵触する可能性があります。業務上横領罪や窃盗罪が適用されることがあり、これらは非常に厳しい処罰を受ける可能性がある犯罪です。
ただし、個別の店舗やフランチャイズによっては、廃棄商品の持ち帰りが認められている場合もあります。しかし、多くの小売店では廃棄商品の持ち帰りが禁止されているようです。「もったいない」と感じるかもしれませんが、上記のような理由から、廃棄登録された商品を持ち帰ることは難しいのが現状です。
コンビニの食品廃棄、年間損失額は1店舗あたり約468万円
公正取引委員会が2020年に実施したアンケート調査によると、全国のコンビニ1万2093店舗からの回答を集計した結果、1日のおにぎりの仕入れ数は平均で1店舗あたり198.6個、そのうち廃棄されたのは18.9個で、金額にして約3400円分に上ることが分かりました。
同様に、弁当の仕入れ数は1日平均39.0個で、廃棄されたのは5.2個、約3200円分でした。コンビニ加盟店の年間廃棄ロス額は、1店舗あたり468万円(中央値)となります。
「3分の1ルール」が生む食品ロスの現実
「3分の1ルール」とは、食品メーカーや卸売業者と、スーパーや百貨店などの小売店との間で定められている取引慣習の一つです。このルールでは、食品が製造されてから賞味期限を迎えるまでの期間を3つに分け、その最初の3分の1の期間内に小売店へ納品することが求められます。
例えば、製造日から賞味期限までの期間が6ヶ月の商品では、最初の2ヶ月以内に卸業者が小売店に納品しなければなりません。この期間を過ぎてしまうと、たとえ賞味期限まで十分な日数が残っていたとしても、商品は小売店に受け入れられないか、卸業者を通じて食品メーカーへ返品されるケースが多いのです。
返品された食品の一部はディスカウントストアで販売されることもありますが、多くは廃棄されてしまいます。
食品ロス「ゼロ」へ挑む未来のコンビニ
大手コンビニでは、2050年までに食品ロスの75~100%をそれぞれが目指しています。
例えば、商品のラインアップには冷凍食品が多く含まれ、実験的な商品も取り扱っています。ある店舗では、おにぎりで実証実験を行っており調理パンなどカテゴリーの拡大も検討しているそうです。
通常、調理パンの消費期限は短いですが、冷凍にすることで賞味期限の延長が可能となり、廃棄の削減に大きく貢献できるでしょう。
コンビニの食品ロス減少の取り組みに注目しよう
食品ロスは、コンビニを含む小売業界が直面する重要な課題です。「3分の1ルール」や廃棄商品の持ち帰り禁止などの慣習が、食品廃棄の一因となっていますが、その背景には、安全性の確保や不正防止、法律の問題があります。
冷凍食品の導入を取り入れる新しい形態のコンビニも登場しており、食品ロスを減らす取り組みが進められています。こうした新たな試みが、未来のコンビニ像を大きく変え、食品ロス削減への道を切り開くことが期待されています。
出典
公正取引委員会 コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書 (令和2年9月)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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