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50代で「年収600万円」。年収の壁が「103万→178万円」になると、会社員の手取りにも影響がある? パート勤務の妻・大学生の息子がいるケースで解説

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月15日 4時50分

50代で「年収600万円」。年収の壁が「103万→178万円」になると、会社員の手取りにも影響がある? パート勤務の妻・大学生の息子がいるケースで解説

2024年10月の衆議院選以降、「103万円の壁」が「178万円」に引き上げられると話題になっています。実際に壁が引き上げられて、妻や大学生の子どもが103万円以上収入を得るようになったら、世帯全体での手取りはどのように変化するのでしょうか。   本記事では、103万円の壁についておさらいしつつ、壁が引き上げられ、妻と子どもの収入が増えた場合の手取りへの影響について解説します。

「103万円の壁」とは?

「103万円の壁」は、パートやアルバイト収入に所得税がかからない基準となる収入額のことです。103万円は「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円」を合わせた額です。基礎控除と給与所得控除は税法上、次のような位置付けです。
 

・基礎控除:最低限生活していくための必要経費として収入から差し引ける額
・給与所得控除:会社などで働く際に必要となるスーツや通信費などを、必要経費とみなして給与から差し引ける額

 
また、配偶者の給与収入が103万円を超えない場合、「配偶者控除」という仕組みで、夫婦のもう一方の所得税が軽減されます。配偶者控除は、配偶者の収入が一定の金額内の場合、もう一方の所得税を軽減できる制度です。
 
このほか16歳以上の扶養親族(子など)がいる場合は、扶養控除38万円が受けられます。扶養する子どもが19歳以上23歳未満の場合は特定扶養控除と呼ばれ、控除額が63万円に増額します。この控除を受けられる扶養親族の収入の上限も、これまで103万円でした。
 

「178万円の壁」への引き上げ

現在、これまで所得税が発生する収入ラインだった103万円を、178万円を目指して引き上げることで自民党、公明党、国民民主党の3党が合意しています。配偶者や扶養親族の収入が178万円までであれば、配偶者控除や扶養控除が適用されるため、扶養を外れることを心配せずにより多く働けます。
 
また、扶養とは関係なく、収入を103万円以上得ている会社員にとっても、基礎控除等の引き上げは所得税や住民税の減税につながります。
 

手取りは増える? 減る? 具体例で解説

では、103万円の壁が引き上げられた場合、次の条件で手取り額の変化を見てみましょう。
 

・夫の年収:600万円
・妻の年収:100万円から150万円に増加
・息子(20歳・大学生)の年収:100万円から150万円に増加

 

所得税・住民税はどうなる?

妻や息子の収入が100万円から150万円に増えても、これまで通り夫の税法上の扶養に入れることになります。つまり妻と息子は、引き続き所得税と住民税が発生しません。
 
また、夫も引き続き配偶者控除や特定扶養控除を受けられる可能性が高く、壁が引き上げられた分、自身の給与から差し引ける基礎控除等も増額しているため、所得税や住民税は減額となるでしょう。大和総研の試算によると、年収600万円の人なら約7万円の減税になるとしています。
 

社会保険料の加入が必要になる

所得税や住民税が減税となる一方で、妻の収入が増加し一定の条件を満たすと、社会保険へ加入することになります。社会保険の扶養を外れて、妻自身が加入する条件は次の通りです。
 

・週の所定労働時間が20時間以上
・給与が月額8万8000円以上
・雇用期間が2ヶ月を超える予定
・51人以上の従業員がいる企業に勤務
・学生でないこと

 
2024年度の東京都全国健康保険協会の例を見ると、年収150万円の場合の社会保険料負担は年間約22万5000円です。そのため、妻の実際の手取りは約130万円になる可能性が高いでしょう。なお、息子は学生のため社会保険加入の条件に当てはまりません。
 

家計全体での手取り額は増える

妻の収入が増加して社会保険料の負担が発生したとしても、家計全体の収入が増えることで、家計の手取り額が増加する可能性が高いでしょう。
 
例えば、妻の収入が100万円から150万円に増加した場合、50万円の収入増です。この増加分から社会保険料を差し引いても、家計の手取りで考えると約30万円増えることになります。また、夫の所得税や住民税が約7万円減税になり、息子は得た収入がそのまま手取りとして受け取れます。
 
103万円の壁が引き上げられても、年収106万円(月額8万8000円)を超えると社会保険に加入しなければならず、手取りが減るとの問題も指摘されています。しかし、社会保険に加入することで、妻自身も将来的に厚生年金を受け取れるようになったり、傷病手当金の支給対象となったりするなどメリットもあります。
 

まとめ

「103万円の壁」から「178万円の壁」への引き上げにより、年収600万円の会社員なら約7万円の減税になるといわれています。また、壁の引き上げにより、妻や大学生の子どもも178万円までは税法上の扶養に入れるため、夫がこれまで通り配偶者控除や扶養控除を受けられる可能性が高いでしょう。
 
ただし、社会保険料の負担が発生するなど、一概に収入が増えた分だけ手取りが増えるとはいえません。しかし、現行の「103万円」の基準が作られた約30年前に比べると、物価水準、最低時給のいずれも上昇しているため、適切に見直されるべきでしょう。
 

出典

大和総研 課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について
全国健康保険協会 令和6年度保険料額表 東京都
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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