最近「103万円の壁」見直しのニュースをよく見ます。うちは「パート勤め」の妻と共働きですが、どのような影響がありそうですか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月18日 2時10分
配偶者の扶養に入っているパート従事者などは、現状年収が103万円を超えると所得税の支払いが発生するため、手取り額が減らないよう勤務時間の調整を行うケースが少なくありません。 2024年にはこの「103万円の壁」を引き上げる見直しについてニュースでも大きな話題となり、12月20日に決定した税制改正大綱においては、2025年から123万円に引き上げることが明記されたとのことです。 この引き上げによって、パート勤めの配偶者がいる場合、働き方にどのような影響が出てくるのでしょうか。また、引き上げを行うことによるメリットや課題はあるのでしょうか。本記事で詳しく解説します。
なぜ「103万円の壁」が話題になっている?
そもそも「103万円の壁」というのは、所得税の支払いが発生する年収のボーダーラインとされている金額のことを指します。通常、給与として得た収入は所得税が課税されますが、国税庁によれば、給与所得控除の最低額である55万円と基礎控除額の48万円を足した103万円を超えなければ、給与を得た本人が所得税を支払う義務は発生しません。
そのため、パート収入の年収が103万円を超えないよう勤務時間を調整しなければならない「働き控え」が発生し、就労機会の減少を招いていることが問題視されてきました。そこで今回、この103万円のボーダーを引き上げることによって、働きやすい環境を整え就労機会を増やすことが大きな狙いとなっています。
「年収の壁」は103万円だけではない?
「年収の壁」は、103万円だけではありません。
一部の企業で社会保険の加入義務が発生する「106万円の壁」や、国民健康保険・国民年金の保険料支払いが発生する「130万円の壁」も存在しています。そのため、例えば「103万円の壁」の要件だけを引き上げたとしても、年収が130万円に到達すると社会保険加入の義務が発生し、結果的に手取り額が減少してしまうことが懸念されています。
さらに、配偶者特別控除が満額の控除額(38万円)ではなくなる「150万円の壁」や、配偶者特別控除の対象でなくなる「201万円の壁」といった年収の壁も存在します。
実際に「103万円」から引き上げられたときの影響は?
では、実際に103万円から123万円の引き上げが行われた場合、私たちにはどのような影響があるのでしょうか。
メリットのある影響というと、やはりパート従業者の「働き控え」が解消され、多くの人がより働きやすい環境になるという点でしょう。人手不足が大きな課題となっている現代の日本では、就労機会が増えることは雇用側にとっても人材確保の一助になります。
しかし、先ほど触れたとおり「130万円の壁」など、ほかの要件などと照らし合わせて見直しを実施しなければ、本来期待していたほどの経済効果を得られない可能性も考えられるでしょう。また、引き上げによる税収減も大きな課題であり、社会制度の調整だけでなく、さまざまな観点から見直しを進める必要がありそうです。
まとめ
今回の税制改正は、「働き控え」を軽減し、給与水準の上昇や人材不足の解消など、さまざまなメリットが期待できます。
その一方で、「103万円の壁」だけに注視すればよいという問題ではなく、他の要件や法案との調整も必要になると考えられます。また、税収減による改善策など大きな課題も残されており、最終的にどのような調整がなされるのかが今後のポイントとなるでしょう。
出典
国税庁 家族と税 パート収入に関する税金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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