「子どもが1歳になるまで社会保険料が免除される」というニュースを見たのですが、実際はどれくらいの金額が免除されるのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年2月1日 23時30分
国民年金や国民健康保険に加入する第1号被保険者には、出産時の産前産後の社会保険料免除があります。具体的には、出産予定日または出産日の属する前月から4ヶ月の免除期間です。 さらに令和8年10月からは、国民年金保険料免除期間や対象者の拡充が決まりました。内容はどのようになっているのか、見ていきます。
産前産後の社会保険料免除の始まり
産前産後の年金や健康保険の保険料が免除されるようになったのは、平成26年4月1日からです。このときは、厚生年金に加入している第2号被保険者を対象として始まりました。
産前産後休業期間以前42日から出産の日後56日までは、事業主が「産前産後休業取得者申出書」を提出することによって、健康保険・厚生年金保険の保険料を被保険者・事業主共に免除されるようになったのです。
なお、出産の日が出産予定日後であるときは出産予定日が起算日になり、双子などの多胎妊娠の場合は起算日の98日前から対象になります。
このときは第1号被保険者の保険料免除はなく、自営業者や個人事業主の夫がいる妻は、夫と同じく第1号被保険者となり、保険料を納付する必要がありました。
さらに令和4年10月からは、厚生年金に加入する場合、育児休業等期間中の社会保険料の免除も始まり、子どもが1歳になるまでの保険料が免除されることになりました。
第1号被保険者も産前産後の社会保険料免除に
第2号被保険者から遅れて、平成31年4月(平成31年2月1日以降に出産した人が対象)からは、第1号被保険者の国民年金保険料の免除が始まりました。
免除期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間です。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から最大6ヶ月です。ただしこの時点では、国民健康保険料の免除はありませんでした。
国民健康保険料が免除されることになったのは、令和6年1月です。免除期間は国民年金保険料と同じ、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月、多胎妊娠の場合は3ヶ月前から6ヶ月となります。
国民健康保険は、医療分と支援分で構成されており、さらに所得割・均等割・資産割・平等割で計算された額の合算です。このうち令和6年1月から免除されることになるのは、所得割と均等割です。
仮に収入から経費を引いた年間の収入が700万円で、妻は専業主婦だった場合は、下記の計算式で健康保険料が求められます。
700万円-43万円(基礎控除)×所得割率(※)+均等割(※)×世帯人数
(※)自治体によって、所得割率と均等割が違います。
医療分と支援分を計算して、合算したものになります。ただし、医療分は65万円、支援分は24万円を上限としていますので、最大で年間89万円となります。
令和6年1月からの健康保険料免除では最大で4ヶ月分となりますので、最高額の89万円だとすると、89万円÷12ヶ月×4ヶ月分=29万6667円が免除されることになります。
令和8年からは国民年金保険料免除拡充も始まる
前項で記したように、第1号被保険者の社会保険料免除は、令和6年1月から始まっています。しかし、まだ会社員が加入する社会保険と比べると、免除期間は短くなっています。
令和8年10月からは、昨今の働き方の多様化から、さらに第1号被保険者の産前産後の免除期間に関する改正法が令和8年10月から施行予定となっています。
令和8年の改正では、第1号被保険者の女性の場合、現行の産前産後の免除期間に加え、産前産後期間に続く9ヶ月の国民年金保険料の免除期間が新設されます。
また、現行制度では夫に免除期間はありませんでしたが、改正によって、出生日(養子となった日)から最大で12ヶ月の保険料免除が新設されることになりました。
令和6年度の国民年金保険料は、月額1万6980円となっています。国民年金保険料は毎年変動し、現在では、令和8年度の保険料額は分かりませんが、令和6年度と同額だとすると20万3760円が夫と妻でそれぞれ免除されることになります。
まとめ
第1号被保険者の個人事業主や自営業者は、平成31年から産前産後の国民年金の保険料免除を、令和6年1月からは国民健康保険の免除を受けられるようになりました。
第1号被保険者の産前産後の免除期間は、第2号被保険者に比べると短くなっています。しかし令和8年10月からは、この期間は子どもが1歳になるまで延長され、さらに夫の保険料も免除される予定です。
出典
厚生労働省 子ども・子育て支援法等の一部改正する法律案における国民年金法の改正について(報告)
日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
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