親が「強盗が怖いから」と、タンス預金300万円を贈与してくれた! 弟妹に「3人で分ければ税金がかからなかった」と言われたけど、現金なら大丈夫じゃないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年2月2日 4時30分
昨年は「闇バイト」による凶悪な強盗事件が多発し、「タンス預金」として自宅に多額の現金を保管している人は少し心配になったかもしれません。 さらに、子どもへの相続を考えている親であれば「どうせなら、早めにタンス預金を子どもに渡しておこう」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、親からであっても、多額のタンス預金をもらってしまうと、もらった子ども側に税金がかかってしまいます。 本記事では、タンス預金300万円を親からもらうと税金がどうなるのかを解説します。節税の方法なども解説しますので、参考にしてください。
タンス預金300万円を親からもらうとどんな税金がかかるのか
子どもが親からタンス預金300万円をもらうと、もらった側の子どもに贈与税が課税されます。
贈与税は、個人から経済的な価値のある資産を取得した際にかかる税金で、現金のほか、株などの金融商品、ゴルフ会員権といった資産価値があるものの贈与が課税の対象です。また、財産が移動していれば、親子間の贈与であっても課税されることに変わりありません。
贈与税には、暦年1年の贈与額に対して110万円の基礎控除や税額控除があるため、税額の計算式は「(1年間にもらった財産価額-110万円)×税率-控除額」です。税率と税額控除は基礎控除後の課税価格によって変動し、課税価格が大きいほど税率も高くなります。
親から子どもへの贈与の場合は「特例贈与財産」として図表1の税率と税額控除が適用されます。
図表1
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
今回の場合は、タンス預金300万円を長男1人が親から一度にもらっています。そのため、ほかに贈与された財産がなければ、贈与税額は「(300万円-110万円)×税率10%-税額控除0円」となり、贈与税額は19万円です。
タンス預金でも贈与税の申告は不可欠
ここまでの解説を見ても、そもそも実家のタンス預金は、親が現金で保管しているため、税務署でも把握できず、贈与税もかからないと考える人もいるかもしれません。しかし、税務署は相続税の税務調査時に、親族の預金口座の取引履歴を調査し、過去の納税状況などと照合し、申告漏れを把握することが可能です。
課税逃れが見つかった場合、延滞税や重加算税を課せられる可能性が高くなります。タンス預金であっても、税務処理を確実に済ませておくことが大切です。
贈与税の節税はできないのか
今回300万円のタンス預金をもらうことで、19万円の贈与税が課税されてしまいます。では、ほかの親族が言うように、この300万円を3人の兄弟姉妹で分けてもらった場合の税金はどうだったのでしょう。
贈与税の基礎控除110万円は、あくまでも「贈与を受けた人1人あたり」の金額です。そのため、贈与を受けた人が兄弟姉妹3人になれば、それぞれに基礎控除を活用できます。つまり、今回300万円のタンス預金を3人で100万円ずつに分けて受け取れば、それぞれ基礎控除110万円が適用可能なため、贈与税は発生しません。
ただし、基礎控除は贈与者ごとに計算するものではありません。そのため、複数の人から贈与を受けていた場合、贈与された人の財産の価格は複数の贈与を合算しなければなりません。
例えば、父親から100万円贈与を受け、母親からも50万円贈与を受けると、合計額150万円が贈与による財産価額になります。そのため40万円が基礎控除110万円に収まらず、贈与税が発生するため注意が必要です。
また、300万円を複数人で分ける以外に贈与税を回避する方法として、「相続時精算課税」があります。親が60歳以上で、贈与を受ける子どもや孫が18歳以上であれば、この相続時精算課税を選択することで、贈与税を回避可能です。
この制度は、生前に受けた贈与額の累積額を相続財産に加えて相続税を計算するもので、特別控除2500万円があるため、選択すると現時点で贈与税が課税されることはありません。選択する場合は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに税務署に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。
ただし、この制度では相続発生時に相続財産を計算する際、贈与した300万円を相続財産に加えて計算する必要があります。そのため、一時的な課税の繰り延べとも考えられる上、一度選択すると取り消しできませんので注意が必要です。
まとめ
たとえ家族間であっても、大きな金額を一気に渡してしまうと贈与税の対象です。タンス預金も例外ではなく、場合によっては多額の税金を納めなければなりません。相続時精算課税を選択し、現時点での贈与税の支払いを回避する方法もあります。
いずれにしても、タンス預金のやり取りをする前に、贈与税や相続時精算課税といった仕組みを理解して、家族間で話し合ってみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4410 複数の人から贈与を受けたとき
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
執筆者:松尾知真
FP2級
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
毎月給料を使い切ってしまう息子。代わりに管理したら「名義預金」とみなされ課税されますか…?
ファイナンシャルフィールド / 2025年2月4日 4時40分
-
贈与税の「暦年課税」と「相続時精算課税」どちらが有利なのでしょうか? 親が相続のことを考えるようになり、アドバイスしてあげたいです
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月25日 23時0分
-
実母と義母から息子が進学するときに「120万円」もらいました。別々で受け取ったら「贈与税」はかからないですか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月25日 3時40分
-
小銭を20年コツコツ貯めて、ついに「100万円」に! これ以上貯めると「税金」がかかる場合もあるのでしょうか? タンス預金を続けて大丈夫ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月11日 2時20分
-
子どもが大学に「推薦合格」! 実家の両親が「お祝いに学費300万円を払う」と言ってくれましたが、高額ですし「贈与税」がかかってしまうでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月9日 4時30分
ランキング
-
1今年も大量廃棄「ご利益なんてない」売れ残った恵方巻きに疑問噴出、米不足も批判に拍車
週刊女性PRIME / 2025年2月5日 8時0分
-
2「五十肩」を最もスムーズに改善する方法…じっと安静はダメ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年2月5日 9時26分
-
3「那智の滝」で滝つぼ凍る 和歌山の世界遺産、白く雪化粧
共同通信 / 2025年2月5日 10時26分
-
4部屋を整理していたら、使っていない「クレジットカード」を3枚発見…!すぐに解約したほうがいい?
ファイナンシャルフィールド / 2025年2月5日 4時30分
-
5「23歳と29歳の時、突然クビに」2社を不当解雇で訴えた男性。総額4700万円の和解金を勝ち取れたワケ
日刊SPA! / 2025年2月5日 8時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください