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先月、定年退職しました。退職金「2000万円」を受け取ったのですが、来年、どのくらいの金額を納税することになるのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2025年2月4日 9時50分

先月、定年退職しました。退職金「2000万円」を受け取ったのですが、来年、どのくらいの金額を納税することになるのでしょうか?

最近では、ひとつの会社に定年まで勤め上げる人も少なくなっているのかもしれません。   その一方で、定年を迎える人のなかには、「大学卒業後38年間、幾多の紆余曲折を経ながらなんとか定年を迎え、老後資金の当てにしていた退職金をめでたく2000万円受け取ることができた」という人もいらっしゃることでしょう。そのようなとき、「果たして、このうちいくら税金で持っていかれるのか?」と心配になることもあるかもしれません。   本記事では、この「勤続年数38年で退職金2000万円」のケースを一例として、退職金を受け取った翌年の税金について解説していきます。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人

最初に、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合を見ていきましょう。
 
この場合、支払者(会社)が所得税額および復興特別所得税額(以下、所得税等という)を計算し、その退職手当等の支払いの際、所得税等が源泉徴収されるため、原則確定申告は必要ありません。つまり、退職金に関する所得税等については、既に退職金の受取時に完結しているため、翌年に所得税等を納税(確定申告)する必要はないということになります。
 
なお、別途、医療費控除や寄附金控除などを受ける目的で確定申告することで、税金が還付される場合もあります。
 
逆に、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、退職金の20.42%の所得税等が概算で源泉徴収されるため、受給者本人が確定申告を行うことで正式な所得税等の精算をします。つまり、こちらの場合、状況によっては税金を払い過ぎているケースもあるということです。
 
まずは、あなたがいずれの状況にあるのかを確認してみましょう。
 

退職所得の計算方法

退職金は「受給者が長年勤め上げた功労に対するお金」との位置付けと捉えられる場合が多いため、給与所得などの他の所得とは分離して、過度の納税額とならないように優遇措置がとられています。基本的な計算方法は、以下のとおりです。
 
退職所得=(収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2
 
上記の算式のとおり、退職所得控除という特別な控除を行ったうえで、さらに残った金額の2分の1(半分)のみが退職所得金額となります。退職所得控除額は、図表1のとおり、勤続年数に応じて計算されます。
 
図表1

図表1

国税庁「タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」より筆者作成
 
今回の事例に沿って退職金2000万円で勤続38年の場合の退職所得控除額を計算すると、
 800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円
よって、退職金2000万円より退職所得控除額2060万円のほうが大きいため、退職所得に関する所得税額等は0円となります。
 
一方、仮に勤続年数を20年とすると、退職所得控除額は800万円となるため、(2000万円-800万円)×1/2=600万円が退職所得金額となります。
 
この場合の所得税額等は、速算表により、所得税が77万2500円(600万円×20%-42万7500円)、復興特別所得税が1万6222円(所得税額×2.1%)で、合計78万8722円となります。
 

もうひとつの税金 住民税

所得税等の他に、退職金には住民税(地方税)が課税されます。ただし、原則的な退職所得金額や退職所得控除額の計算方法は、これまで見てきた所得税等の計算方法と同様となります。つまり、勤続38年の事例では住民税の負担もありません。
 
勤続20年の場合には、退職所得金額600万円の10%に当たる60万円の住民税の負担が生じます。なお、住民税は前年分の所得に課税されるため、退職後に再就職などしない場合には普通徴収にて支払う必要があります。
 

まとめ

退職金は長年の勤労に対する功労の意味合いが強いため、税金についても一定の優遇措置が講じられています。
 
なお、退職金は一括で受け取る場合が多いと思われますが、例えば、一部を年金として何年間かに分けての受け取りを選択できる場合もあります。この場合は、年金として受け取った分の税金の計算方法(公的年金等控除)が異なるため、別途確認が必要となります。
 
また、不動産所得や事業所得など他の所得でマイナスとなっている場合には、確定申告したほうが有利となるケースもあります。事前に会社や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 タックスアンサー 別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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