大学生の孫はアルバイトで生活費を稼いでおり、見ていて大変そうです。援助をしたいのですが、孫の口座に送金したら「贈与税」はかかるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年2月4日 10時10分
贈与とは、生存している個人から財産をもらう契約をいいます。つまり、祖父母(個人)から孫がお金(財産)をもらう行為は贈与に当たります。 また、贈与は、口頭でも書面でも成立しますので、孫が拒まないもの(口座に入金を確認)は有効となるでしょう。ただし、贈与された財産に対して贈与税がかかるケースとかからないケースがあります。 本記事では贈与税の課税対象となるかを中心に、贈与時の注意点などを確認していきます。
贈与税の課税対象となるかの判断
相続税法において、扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、「通常必要と認められるもの」については、贈与税の対象とならないと規定されています。 この要件について、もう少し細かく見てみましょう。
1.扶養義務者とは?
(1)配偶者、(2)直系血族および兄弟姉妹、(3)家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった3親等内の親族、(4)3親等内の親族で生計を一にする者
贈与のときの状況により、上記に該当するかについて判断されます。
2.生活費または教育費とは?
生活費とは、孫の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く)とされています。また、治療費や療養費など(保険金や損害賠償金により補てんされる金額を除く)も含まれます。また、教育費とは、教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいいます。
3.「通常必要と認められるもの」とは?
相続税法基本通達には、「被扶養者(孫)の需要と扶養者(祖父母)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上相当と認められる範囲の財産をいう」とされています。
例えば今回の事例で、孫の生活費として毎月10万円、年間120万円支援しているケースを想定すると、これは金額が高すぎるとはいえず、原則として社会通念上相当と認められるものと思われます。
ただし、上記の要件に該当した場合でも、贈与税がかからない財産は、「必要な都度直接生活費または教育費として使用するために贈与を受けたもの」に限られます。
数年分など多めの金額の贈与を一括で受けた場合、その財産が預貯金となっている場合や、株式や不動産の購入資金に充てられた場合など、生活費に充てられなかった金額については贈与税の課税対象となります。
暦年贈与による贈与税非課税の範囲
1年間に贈与された財産の合計額が基礎控除額の110万円以下であれば、贈与税が非課税となるため確定申告は必要ありません。
ただし、1年ごとの金額は基礎控除以下であっても、例えば年間100万円を10年間、合計1000万円贈与した場合、「年間100万円で10年間毎年贈与する」という契約(定期贈与)だと税務署に判断され、贈与税が課される可能性があります。
このような場合、基本的には、毎年贈与する際に暦年贈与として贈与契約書を締結しておくなどの対応を検討しましょう。
祖父母が孫に贈与する際の注意点
今回の事例のように祖父母が孫に財産を贈与する際、覚えておきたい主な注意点には、以下のようなものがあります。
1.相続税による生前贈与加算
祖父母が亡くなり、相続、遺贈により孫が相続人として財産を取得した場合、祖父母から加算対象期間(相続開始日より異なるが、原則、相続開始日前7年間)に贈与を受けていたとき、孫の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算します。
2.贈与税の税率は孫の年齢で異なる
直系尊属(祖父母)から贈与を受けた年の1月1日において、受贈者(孫)が18歳以上であると、「特例税率」を適用することができます。それ以外の「一般税率」より有利となる税額表で計算することができます。
3.相続時精算課税を選択できる
贈与者(満60歳以上)の祖父母が受贈者(満18歳以上)の孫に贈与する場合には、相続時精算課税を選択適用することができます。この制度によって、2500万円までの贈与財産(年間110万円の控除も可能)は贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分については一律20%で贈与税を計算することができます。
4.贈与税の非課税措置
教育資金や結婚・子育て資金を一括贈与する場合に、一定の条件を満たし、所定の手続きを行うことで非課税措置を適用することができます。なお、現時点において、教育資金は令和8月3月31日までの特例(1500万円まで)、結婚・子育て資金は令和7年3月31日までの特例(1000万円まで)という時限的な制度となっています。
まとめ
孫の生活費として「通常必要と認められるもの」について、明確な金額上限などの定めはありません。ただし、贈与税の基礎控除額110万円はひとつの目安となるでしょう。また、ひと言で「孫」といっても、その年齢に応じて贈与税の金額が異なるケースがあることも覚えておきましょう。
出典
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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