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退職金を受け取る前にやるべきこと、やってはいけないこと

ファイナンシャルフィールド / 2019年2月23日 9時30分

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退職金は、長い間勤めてコツコツ貯めた大事なお金ですし、老後を安心して過ごすための大切な資金源でもあります。無計画に使って、「気がついたらなくなっていた」「投資でもうけようと思ったら、失敗して大幅に減ってしまった」ということにならないようにしたいものです。   そのためには、退職金の使い道、預け先や運用先など、退職金を受け取る前から計画し、もらったときに備えておく必要があります。今回は、退職金を受け取る前に考えておくべきことと、受け取った後にやってはいけないことについて考えてみたいと思います。  

退職金を受け取る前にやるべきこと

リタイア後にどのくらいの生活費がかかり、どんなイベントがあるかを大まかにでも把握しておかないと、困ることになります。特に、自動車の買い替えや、子どもの結婚費用に対する援助などには、まとまったお金が必要になりますので、計画的に準備をすることが大事です。
 
自動車を買い替えるなら50万~200万円程度は必要でしょう。ゼクシィ結婚トレンド調査2018(首都圏)によれば、挙式、披露宴などの費用として、親や親族から援助してもらった費用の平均は首都圏で182.3万円になっています。
 
もちろん、イベントは人それぞれで、その内容によって必要となるお金は変わってきますが、自分にとって必要となるイベントを書き出し、それに必要な費用を想定して、準備をしておく必要があります。参考までに、一般的なイベントを次に紹介しておきます。
 
・子どもの結婚費用に対する援助
・孫への援助資金(誕生祝い金など)
・趣味や海外旅行の費用
・住み替えやリフォーム費用
・車の買い替え費用
・独立開業・資格費用など

■受取方法

退職金の使い道をある程度決めたら、それに合わせた受取方法を決める必要があります。勤務先により選択肢は異なる場合がありますが、基本は次の3つになります。
 
(1)一時金で受け取る
1つ目は、退職金をまとめて一時金で受け取るやり方です。一時金は、「退職所得」となり、所得税と住民税がかかりますが、次のように、税負担が少なくすむように優遇されています。
 
・分離課税でほかの所得と合算されずに税金が計算されます。
・勤続年数による大幅な控除(退職所得控除)があります。
・退職所得控除を差し引いた金額の2分の1にした額に課税されます(課税退職所得金額)。
 
退職金にかかる税金=(退職金-退職所得控除額※1)×2分の1×税率
退職金の所得税額は、課税退職所得金額×税率-控除額※2
ほかに、退職所得金額に対して住民税と、上で計算された所得税額の2.1%の復興特別所得税が課税されます。
 
※1 退職所得控除額
勤続年数が20年以下の場合は、40万円×勤続年数(ただし、80万円より少ないときは80万円)
勤続年数が20年を超える場合は、800万円+70万円×(勤続年数-20年)
 
※2 税率-控除額
所得税の税率と控除額は、課税退職所得金額によって変わります。一例として、課税退職所得金額が195万円から329万9000円までの場合の税率は、10%、控除額は9万7500円です。
 
参考:国税庁ウェブサイト 退職金と税
 
(2)年金で受け取る
2つ目は、退職金を年金として受け取る方式です。これは、会社がある程度の運用を行いながら退職金を分割で受け取るものです。
 
所得区分としては、「雑所得」となり、公的年金と合算して課税されますが、公的年金等を控除することができます。なお、公的年金等の控除額は、公的年金額やほかの収入の有無や、その額で変わってきます。
 
(3)一時金と年金で受け取る
3つ目は、まとめて一時金として受け取ることと、分割で年金として受け取る方式を併用するやり方があります。先ほど説明しましたように、一時金部分は退職所得、年金部分は雑所得として課税されます。
 
以上の3つの受取方式には、それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自分のセカンドライフに合わせ、将来に必要なお金を想定した上で、会社の専門部署や退職した先輩などに相談して選択すると良いでしょう。もちろん、ファイナンシャル・プランナーや税理士などの専門家に相談する方法もあります。

■預け先・運用先

退職金の使い道と受取方法が決まったら、預け先と運用先を決める必要があります。これも、人それぞれの金額になりますので、一概にどうすれば良いというのは言えませんが、セカンドライフを安心して過ごすための資金ですので、あまりリスクをとらずに運用することが基本になります。
 

退職金を受け取ったらやってはいけないこと

退職金をもらって、まとまったお金を手にすると、「少しでも増やしたい」「ローンの返済にあてたい」「新車を買い替えたい」「家を建て替えたい」など、夢が膨らんできます。
 
しかし、慣れない投資商品に大事な退職金をつぎ込み、大きな損失を抱え込んだり、ローンの返済を急ぐあまりに資金の大半を回したり、新車や家の建て替えに使ってしまい、生活資金に影響が出てきてしまうケースなどがあります。
 
これは、安心して充実したセカンドライフを送るためには、絶対に避けなければなりません。長年苦労して働いて得られた、老後の大事な資金です。
 
資金計画の検討が不十分で、どうしたら良いか迷っている人は、いったん預貯金に預けてから、時間をかけて、専門家に相談するなどして冷静に判断することも必要ではないでしょうか。
 
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2018 首都圏(ゼクシィ 結婚トレンド調査2018調べ)
   国税庁ウェブサイト 退職金と税
 
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
 
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