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4月から6月にたくさん働くと社会保険料が高くなるって本当?

ファイナンシャルフィールド / 2020年5月12日 23時10分

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「給与明細をよく見ると、厚生年金や健康保険といった社会保険料が天引きされている」という方、その天引きされる金額は基本的に4月・5月・6月の給料をもとに計算されているということをご存じでしょうか。  

1年の社会保険料は「4月から6月の給料」をもとに決まる

支払うべき社会保険料の金額は、給料の月額(より正確にいうと、給料の月額に応じて50段階に区分した「標準報酬月額」というもの)をもとに計算されています。厚生年金も健康保険も同じ仕組みです。
 
標準報酬月額は原則として毎年1回算定され、その後は1年間ずっと固定されることになっています。その算定の時期は7月1日で、直前の3ヶ月間(4月・5月・6月)に受けた報酬月額の平均によって、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額が決まります。この計算にはいわゆる「ボーナス」は含まれません。
 
つまり、「今年3月から6月あたりにかけてたくさん働いたから、残業代で4月・5月・6月に受け取る給料が増えた」という方は、その普段より多くなっている給料に基づいて、9月から天引きされる社会保険料の金額も多くなることになります。

社会保険料が変動する条件はほかにも!

社会保険料の計算のもとになる標準報酬月額は年1回の計算が原則ですが、状況によってはそれ以外のタイミングで見直しをすることもあります。たとえば以下のような場合です。

●転職

就職したときや転職したとき、新しい雇用主はこれから従業員に支払う予定の報酬を届け出ることになっています。その内容をもとに標準報酬月額が計算されます。新しく計算された標準報酬月額は、その日が1月から5月末までならその年の8月まで、6月から12月末までなら翌年の8月まで適用されます。

●育休や産休明け

育児休業や産前産後休業を終えた時点で3歳未満のお子さんがいる場合は、本人が会社の担当部署に申し出をすれば、標準報酬月額を再計算してもらえます。時短勤務で復帰するなど、休業前よりお給料が下がる方が社会保険料の負担を軽くするために利用できます。

●給料が大幅に増えた・減った

昇給・昇格・降給・降格などで固定給が大幅に変わった場合、実際の報酬と支払っている社会保険料の差が大きくなりすぎないよう、年1度の計算時期を待たずに再計算されます。給料が変わった月から数えて4ヶ月目から、新しい標準報酬月額が適用されますよ。

天引きされる社会保険料が増えるメリット

「せっかくたくさん働いてお給料が増えたのに、支払う社会保険料も増えたのでは意味がない!」と思う方もいるでしょう。でも、これは完全に損というわけではありませんよ。標準報酬月額が上がると、それをもとに計算されている将来の厚生年金の受取額も上がります。
 
また、病気やケガで会社を休んだときに受け取れる傷病手当金や、産休を取ったときに受け取れる出産手当金も、同様に標準報酬月額をもとに計算されているため、受給できる金額が大きくなります。
 
「天引き分が増えて損」と考えるより「自分の給料が上がって社会保険料が増えた分、いざお金が必要になったときに自分を守ってくれる社会保障という盾が強化された」と考えたほうが、やる気がそがれることなく仕事に励めるかもしれませんね。

給与明細をよく見てみよう

「給与明細は手取りの給与額しか見ていない」という方も多いでしょう。
 
でも、実は1つ1つルールに基づいて決まっていて、今の手取りだけでなく1年後の手取りや、将来受給できる年金額まで影響する内容もあります。一度、自分の給与明細をじっくりと読んでみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
 
(参考)
日本年金機構 Q.標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
日本年金機構 育児休業等終了時報酬月額変更届の提出
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき
全国健康保険協会 出産で会社を休んだとき
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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