意外と多い50代で金融資産ゼロ⁉ まだ間に合う資産形成のラストスパートのかけかた
Finasee / 2024年8月27日 17時0分
Finasee(フィナシー)
セゾン投信社長の園部鷹博氏は1975年生まれの49歳。いわゆる“団塊ジュニア”で、就職氷河期世代にもあたります。厳しい雇用状況のなか、希望する職に就けずに、不安定な仕事に従事せざるをえなかった人も少なからずいます。そして、こうした背景から老後に向けた資産形成が十分にできていない人も……。
園部氏は50代に差しかかる同世代に、これから資産形成を始めても遅くないと伝えるため、書籍『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』を執筆。今回は本書から特別に、50歳から資産を増やすための知っておきたい公的年金の仕組みや具体的な投資手法をお届けします。(全4回の2回目)
●第1回:「結局、年金はもらえるの?」現役世代1.4人で1人の高齢者を支える2050年日本の未来図
※本稿は、園部鷹博著『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』(ビジネス社)の一部を抜粋・再編集したものです。
まず70歳まで働く意思を持つ50代でまったく金融資産を持っていない人は、意外といらっしゃいます。ここで問題にしているのはあくまでも「金融資産」です。預貯金などの金融資産が1円もないという人でも、ひょっとしたら持家をはじめとする不動産などの実物資産を持っているケースがある点は含んでおいてください。
では金融資産をまったく保有していない世帯は、どのくらいあるものなのでしょうか。
数字は、金融広報中央委員会が毎年公表している「家計の金融行動に関する世論調査(出典:家計の金融行動に関する世論調査〈令和5年、金融広報中央委員会〉)」からのものです。
2人以上世帯における世帯主の年代別に、金融資産を保有していないと回答した人たちの比率は次のようになります。
•20歳代 36.9%
•30歳代 28.4%
•40歳代 26.8%
•50歳代 27.4%
•60歳代 21.0%
•70歳代 19.2%
20歳代の資産ゼロ回答が高いのは仕方がないところでしょう。お給料もそれほど高くないし、でもまだ遊びたい盛りだし。
この数字は2人以上世帯ですから、結婚している世帯主の家庭が対象になっています。30歳代以上になれば、そろそろ子供をつくろうという話も出てきて備えが必要になりますから、相応に金融資産を持つ世帯の割合が高まっていきます。そのため金融資産を保有していない世帯の割合は、30歳代、40歳代と低下していきます。それなのに、なぜか50歳代になると金融資産を保有していない世帯の割合が上昇します。
50歳代で金融資産を保有していない世帯の割合が27.4%もあるのは、それはそれで問題でしょう。そして本書は、まさにこういう人がターゲットでもあります。
50歳代で金融資産がまったくない、あるいは持っていたとしても極めて少額という人はどうすればいいのでしょうか。
その対策の第一歩は、できるだけ長く働くことです。
65歳からの7年間は資産形成のラストスパート期間労働力人口に占める65歳以上の割合は年々上昇しています。1980年の割合は、わずか4.9%だったのに対して、2021年は13.4%です。ちなみに1980年の労働力人口は5650万人で、このうち65歳から69歳の年齢で働いている人の数が165万人、70歳以上でも働いている人の数は114万人でした。それが2021年は65歳から69歳で働いている人の数が410万人、70歳以上で働いている人の数は516万人になっています。ここまで増えると、もはや70歳でも働くのは当然と思えてきます。
ただし70歳まで働く場合、雇用形態は非正規雇用になるのが普通です。将来的には、定年制度そのものがなくなり、70歳でも正規雇用で働ける時代が来るのかもしれません。ただ少なくとも現状においては、非正規で働くことになりそうです。
では非正規社員の場合、月収はいくらになるでしょうか。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(出典:賃金構造基本統計調査〈厚生労働省〉)」によると、正社員・正職員以外の一般労働者で男女別に平均的な給与額を見ると、次のようになります。
【男性】
•60~64歳 28万3600円
•65~69歳 23万8000円
•70歳以上 20万9500円
【女性】
•60~64歳 19万9100円
•65~69歳 18万5800円
•70歳以上 17万7300円
もしパートナーがいるのであれば、2人で稼ぐダブルワークがお勧めです。この数字はあくまでも平均値なので、どの職業でもこの金額になるとは申し上げられません。ただし参考までに考えると、65歳から69歳までの間、ダブルワークをすれば、毎月42万3800円の収入を得ることができるのです。
そのうえ65歳から公的年金が満額受給できるとなれば、月々の生活費を絞ることによって、資産形成のラストスパートをかけることも十分に可能になります。健康寿命を考えれば、72歳前後までは何とか頑張って働けるのではないでしょうか。だとすれば、公的年金を満額受給できる65歳から72歳までの7年間を、資産形成のラストスパート期間と考えることもできます。決してあきらめる必要はないのです。
●第3回は【株価の大暴落時こそ見直される公的年金の安心感…「ねんきん定期便」のチェックすべきポイントを解説】です(8月28日に配信予定)。
50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用著書 園部鷹博
出版社 ビジネス社
定価 1,650円(税込)
園部 鷹博/セゾン投信 代表取締役社長
1975年生まれ。兵庫県出身。神戸大学卒業。P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)などを経て、2007年さわかみ投信へ入社。2013年ドイツ銀行グループの資産運用会社であるドイチェ・アセット・マネジメント入社。2015年同社クライアントサービス部ヴァイスプレジデント。2016年同社大阪営業所長に就任。2018年セゾン投信入社。同社事業推進部長として販売会社経由での長期積立投資の拡大に従事。2019年同社取締役兼事業本部長。2020年 6 月同社代表取締役社長 COO に就任。
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