話題の「レバナス」に新NISAで投資できる? 株価暴落局面で取るべき方策はある?
Finasee / 2024年8月13日 19時0分
Finasee(フィナシー)
レバレッジ型投資信託「レバナス」は 人気の米国IT企業に投資可能だが…
「レバナス」とは、投資信託のひとつです。米国・NASDAQ(ナスダック)市場の株価指数である「ナスダック100」(米ドルベース)に連動し、基準価額(投資信託の値段)が2倍になるように設計されたレバレッジ型投資信託のことを指します。レバレッジの「レバ」とナスダックの「ナス」を取り、「レバナス」と呼ばれています。
NASDAQは1971年に全米証券業協会により設立された電子証券取引所。マイクロソフトやアップルなどテクノロジー関連企業を中心に4000社以上が上場しており、世界最大の時価総額を誇るニューヨーク証券取引所に次ぐ規模にまで成長しました。
そして「ナスダック100」は、同市場に上場している銘柄のうち、金融セクターを除いた時価総額トップ100銘柄で構成される株価指数のことです。エヌビディアやアマゾン、アルファベット(グーグルの親会社)、テスラなどが名を連ねており、この1年(2023年7月末~24年7月末)で約20%上昇しました。
「レバレッジ」とは「てこの原理」のこと。金融の世界では、少ない資金で大きな投資効果を目指す手法を指します。FX(外国為替証拠金取引)や信用取引、先物取引、オプション取引などではこのレバレッジを活用して、取引額に比べて少ない額の証拠金で売買できます。
【レバナスのメリット】レバレッジを活用した大きなリターンを狙える一般的に「レバナス」と呼ばれる投資信託には、「大和-iFreeレバレッジNASDAQ100」や「楽天レバレッジNASDAQ-100」といった商品があります。これら商品の特徴は、ただでさえ成長性の高いナスダック100にレバレッジをかけた投資ができる点。価格上昇時は、ハイリターンを期待することができます。
100銘柄をパッケージにした投資信託であることもポイントです。ナスダック100の構成銘柄に個別で投資するには多額の資金が必要であり、個人が容易に行うことはできませんし、保有後の管理も大変です。
対して投資信託であれば、1つの金融商品ですべてに投資ができ、少ない資金で分散投資を実現することができます。なお、先に挙げた「大和-iFreeレバレッジNASDAQ100」の基準価額は3万4007円、「楽天レバレッジNASDAQ-100」は7945円(ともに2024年8月8日時点)。個人でも手が出ない金額ではありません。
【レバナスのデメリット】価格下落時は損失が大きくなる恐れ…レバナスは、ナスダック100の2倍程度の値動きになるよう設計されていると述べました。だからこそ価格上昇時には大きな利益が見込める半面、価格下落時には損失が拡大しやすくなります。ハイリスク・ハイリターンの投資信託であることを留意しなければなりません。
また、同じナスダック100株価指数を対象としたインデックスファンドに比べると、レバナスの信託報酬は高くなる傾向があります。例えば、ナスダック100に連動する非レバレッジ型投資信託の「eMAXIS NASDAQ100インデックス」の信託報酬が0.2035%であるのに対して、「大和-iFreeレバレッジNASDAQ100」は0.99%、「楽天レバレッジNASDAQ-100」は0.77%と、かなりの開きが生じています(2024年8月8日時点)。コスト以上の運用益が出ないことには、リターンを得ることはできないということです。
こういった特性から、レバナスは長期保有に向かない投資信託だとわかります。値動きが大きく、かつ保有期間が長くなればなるほどコスト負担は重くなります。むしろ、ダイナミックな値動きをうまく捉え、短期取引でリターンを狙うのに適しているといえるでしょう。
【新NISAでレナバス】基本的に取引できない。他の投資信託を選ぶことになる先に挙げたレバナスの投資信託は、旧制度の一般NISAで投資することはできましたが、新NISAでは成長投資枠・つみたて投資枠ともに対応していません。新NISAの目的は長期での資産形成であり、以下に当てはまる投資信託は対象外だからです。
・信託期間20年未満の投資信託等
・毎月分配型の投資信託
・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等
レバナスはデリバティブ取引を用いているため、新NISAで取引できないというわけです。どうしてもレバナスを購入したい場合は、課税口座を利用しましょう。
ただし、代わりに近い投資信託はあります。「ニッセイNASDAQ100インデックス」や「eMAXIS NASDAQ100インデックス」は、レバナスと同じ株価指数ナスダック100に連動する投資成果を目指す商品です。レバレッジ型ではありませんので新NISAに対応しており、レバナスよりも低コストで運用できることから長期の積立投資に活用することができます。
ナスダック100と同じく、米IT企業に投資したいなら、世界的なテクノロジー企業10社程度に投資する「iFree FANG+インデックス」、米国株式市場をけん引するマグニフィセントセブン(7つのテクノロジー企業)に投資する「米国大型テクノロジー株ファンド」も選択肢に挙がります。前者は成長投資枠・つみたて投資枠の両方、後者は成長投資枠で投資することができます。
ハイリターンを期待できるという点で、レバナスは魅力的な投資信託です。ただし、新NISAが掲げる方針と異なるのは確かなことで、こればかりは致し方ありません。類似の投資信託を選び、長期運用で堅実に利益を狙うというのが現状では一つの戦略となります。投資に対するリスクをどの程度受け入れられるかというご自身のリスク許容度を見極めて判断しましょう。
大正谷 成晴/編集者/ライター
2001年5月よりフリーライターとして活動を開始。資産運用、税制、キャッシュレス・ポイント、医療・介護、ビジネス全般、まちづくり・地方創生などのジャンルで取材・執筆を行っている。著書『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)
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