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NTTドコモ、イオン銀行との提携の手ごたえ「2024年に入って、がらりと変わった」。その理由は…

Finasee / 2024年8月27日 13時0分

NTTドコモ、イオン銀行との提携の手ごたえ「2024年に入って、がらりと変わった」。その理由は…

Finasee(フィナシー)

マネックスグループの会長である松本大氏によって、1999年に創業されたマネックス証券。インターネット証券の黎明(れいめい)期に産声を上げて以来、顧客オリエンテッドな金融サービスを提供し続けている。

そんなマネックス証券は、2024年1月にNTTドコモとの資本業務提携、イオン銀行との業務提携をスタートさせ、大きな話題となった。こうした異業種との提携の狙いは何か。 提携の手ごたえはどのようなものか。マネックス証券の清明祐子社長に話を聞いた。

***
 

――NTTドコモ、イオン銀行との提携がスタートして7カ月が経過しました。また、新NISAもちょうど同じタイミングに始まりました。2024年前・後でどのような変化が見られましたか。

マネックス証券に口座を開こうとするお客様は、投資未経験者よりも圧倒的に経験者が中心でした。例えば米国株式の品ぞろえが豊富だとか、銘柄スカウターや投資力診断など、マネックス証券でしか利用できない各種ツールを使ってみたいというお客様が、マネックス証券に口座を開いてくださっていたのです。

その傾向が2024年に入ってからがらりと変わってきました。口座を開設してくださるお客様のうち、投資未経験者の方々が増えてきたのです。これまでマネックス証券で投資信託を購入される方は、積立よりもまとまった資金で一括購入するケースが多く見られたのですが、2024年に入ってからは積立契約の比率が上昇してきました。

またNISA口座についても、旧制度のもとでは一般NISAを選ぶ方の割合が圧倒的に高かったのですが、2024年以降はつみたて投資枠を利用する方が増えています。

このように投資初心者の方たちの口座開設比率が高まったのは、新NISAがスタートしたことも理由のひとつではあるのですが、やはりNTTドコモとの資本業務提携、そしてイオン銀行との業務提携による効果が高かったと見ています。

マネックス証券 取締役社長執行役員 清明祐子氏

―――入口が1つではなく、3つになったことで、お客様の流入が増えたということでしょうか。

もともとマネックス証券は、「投資の民主化」を掲げてスタートした証券会社です。そのため、投資家にとって便利で役に立つと思われる、さまざまなサービスを開発して、マネックス証券のお客様に提供してきました。

実は、私どもは基幹システムを内製化しています。これは証券会社でも珍しいケースです。システムの内製化は、コストや労力が格段に増えるのですが、さまざまなサービスを開発する際の自由度が高まります。他社システムだと、どうしても付きまとってしまう制約から解放されるのです。その結果、お客様の要望に対して、柔軟に対応しながらさまざまなサービスを開発できることを強みとしてきました。

ただ、どれだけ良いサービスを開発しても、証券会社はどうしても敷居が高いイメージがあります。

実際、NISA口座の総数は全ての金融機関を合わせても3月末時点で約2300万口座です。多くの方にとって投資はまだ生活から遠いところにあるのだと思います

この距離を縮めるにはどうすればいいか、「マネックス証券には、いいサービスがあります。便利なツールもあります」と言っているだけでは、広がりに限界がある……それを突き詰めて考えました。その答えがNTTドコモやイオン銀行との提携でした。

NTTドコモは携帯電話事業やdポイントを通じて、個人の生活になくてはならない存在ですし、イオン銀行は日本最大級の小売業である、イオングループのグループ企業です。いずれも個人の生活に密着した存在であり、そこと組むことによって、お客様と私どもの距離、ひいては金融と生活の距離を縮め、一人ひとりに寄り添うサービスが提供できると考えたのです。

※編集部注…NISA口座を作ることができる18歳以上の人口は1億700万人ほどなので(総務省 「人口推計2023年」)、2割超の人がNISA口座を作っている一方、8割近くの人がまだNISA口座を持っていないことになる。

――今お話にあがった「dポイント」といえば、すでにdカードのクレカ積立は個人投資家の間で話題になっているようです。また、サイトで予告されている施策も注目されています。

狙いは、dカード、d払い、dポイントの中に資産形成サービスを置くことで、先ほどお伝えした通り、生活と金融の距離を近づけることにあります。

7月からは投信積立サービスで「dカードのクレカ積立」の提供を開始しました。積立投資をdカードで決済できるだけでなく、毎月の積立額に応じてdポイントが還元されます。

さらに8月からは「eximoポイ活」提供開始に伴う特典サービスも開始しました。これはNTTドコモの新料金プラン「eximo ポイ活」をご契約の方が、「dカードのクレカ積立」において「dカード GOLD」で決済すると、さらにポイントが1%上乗せされるものです。

またこの秋口からは、マネックス証券の口座とdアカウントを紐づけることで、投資信託の購入でdポイントをためたり、dポイントを投資信託の購入代金に充てたりすることも可能になりますし、年度末に向けてはd払いアプリに組み込まれている資産運用サービスの使い勝手が向上します。

これまでd払いアプリの資産運用サービスで、例えば投資信託を買おうとしたら、いったんd払いのアプリから出た後、マネックス証券のサイトに入り直して、投資信託を買うための手続きを進めるという流れになっていたのですが、これだと「いったん出た後に入り直す」という手間がかかります。

そこで、d払いのアプリから直接、シームレスに投資信託を買えるようなシステムを、年度末に向けて開発しているところです。このシステムが稼働すれば、実際にはマネックス証券のシステムを使って投資信託を買うわけですが、お客様にとってはNTTドコモのdアプリから直接、投資信託を買う感覚で利用できるようになるはずです。

――こうした提携により投資未経験者の方による口座開設も増え、ますます投資のすそ野は広がるのだろうと想像できます。新たな層である投資初心者を取り込んでいくうえでの課題はありますか。

投資経験者がお客様の多くを占めていたマネックス証券のサイトやアプリは、いささか投資未経験者には不親切なところがあるのではないか、と思っています。したがって、これからはより多くの投資未経験者の方々にも投資を楽しんでもらえるよう、7月の組織改定で私の直下にUIUX部を置くことにしました。これにより、ユーザーインターフェース(UI)、ユーザーエクスペリエンス(UX)の質を改善、強化していきます。

金融サービスは、初心者でも分かりやすいコンテンツを作っているつもりでも、例えば「約定」や「受渡」といった専門用語が多く、それを目にした時点で、投資未経験者は拒否反応を示してしまいます。

それを少しでも減らすためには、金融や資産運用のことを全く知らない人でもストレスなく取引に入っていけるよう、UIやUXの質を高めることが必要だと考えます。そしてこの点でも、NTTドコモやイオン銀行とタッグを組む意味があります。

通信業と小売流通業ですから、金融や資産運用のことをあまり知らない個人に寄り添って、UIやUXの質を向上する取組みが実現できると考えています。

加えて、私どもは長年、投資教育に力を入れており、対面やオンラインでのセミナーも年200回程度開催していますし、「マネクリ」というオウンドメディアも運営しています。今後は日々のニュースと投資を結び付けて解説するようなコンテンツも増やし、よりいっそう投資に対する理解を深められるようなコンテンツも提供していく予定です。

――ただ、初心者の方などを取り込みながら口座数が増えることは喜ばしい一方で、そうした方たちの多くは低コストのインデックスファンドから投資を始める可能性が高いと思います。収益確保の見通しはどうですか。

私どもはお客様と20年、30年という長期にわたる関係を築きたいと常々考えています。短期的に“回収”するという考えはありません。

最初は低コストファンドから入られたお客様でも、お取引が長くなると、他の金融商品にも目が行くようになります。すると、徐々に例えば高配当銘柄やアクティブファンドなどを加えることで、リッチなポートフォリオを構築するようになるのです。お客様が他の金融商品にも目を向け始めた時、そのニーズにしっかり合致した金融商品を提供できるようにすることが肝心だと考えています。

マーケティングについても、従来はとにかく大勢の方にアピールして、マネックス証券を知っていただくことが最大のプロモーションでしたが、NTTドコモはデータ分析に強みがあるので、ターゲットを絞ったマーケティングも可能になるでしょう。

こうしたことを組み合わせることによって、収益は十分に確保できると考えています。

――インタビューの中で“予告”くださった数々のサービスのローンチ、そしてきっと来年も提携のなかから新たなサービスを仕掛けられていくのだと思うと、今後もいっそう楽しみです。ありがとうございました

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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