ゆうちょ銀行・郵便局では「S&P500」が独走も、「日経225」が2位に。GPIFと同配分のバランスファンドも人気!
Finasee / 2024年8月28日 7時0分
Finasee(フィナシー)
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の2024年7月のトップは引き続き「iFree S&P500インデックス」だった。第2位に「大和ストックインデックス225ファンド」がジャンプアップし、以下、「つみたて先進国株式」、「つみたて日本株式(TOPIX)」、「野村6資産分散投信(成長コース)」がトップ5になった。第6位に「つみたて全世界株式」が入り、第7位以下はグローバル分散投資型のバランスファンドになった。バランスファンドの中では、3年(年率)トータルリターンが12.11%(2024年7月末時点)と最も高いリターンをあげている「野村世界6資産分散投信(成長コース)」が最もよく売れている。
ゆうちょ銀行の公表データにより編集部作成
◆今後の円高傾向をにらみ「S&P500」一辺倒の見直しも全国津々浦々に広がる店舗網が特徴のゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋トップは、「iFree S&P500インデックス」が独走している。同ファンドは米国株式を代表する株価指数「S&P500」に連動する動きをめざすインデックスファンドだ。7月末時点での5年(年率)トータルリターンが21.86%と、過去5年にわたって年間20%を超えるリターンを残してきた抜群の運用成績を残している。新NISAの「つみたて投資枠」でも「成長投資枠」でも購入ができることも裾野を広げる役割に一役買っていると考えられる。
「大和ストックインデックス225ファンド」は、国内株式を代表する株価指数「日経平均株価(日経225)」に連動する成果をめざすインデックスファンドだ。5月の時点では第10位だったものが、7月には第2位にランクを上げた。運用成績は、5年(年率)トータルリターンが14.29%であり、「iFree S&P500インデックス」と比較すると見劣りする。新NISAでは「成長投資枠」の対象だ。一方、このところ「円安」をけん制する動き(円買い・ドル売り介入など)が続いており、為替相場の影響を考えなくともよい日本株式の魅力にも見直しが進むという期待もある。国内企業もインフレ経済への転換で製品・サービス価格の値上げが実現できる環境となり、業績拡大期待も高まっている。
1ドル=160円台から144円台(8月25日現在)に進んだ円高は、今後の米国利下げの動きを受けて一段と進むという見方もある。2020年3月の「コロナ・ショック」以来、世界の株式市場をけん引してきた米国株式に、円安傾向の環境も手伝って国内投資家の間には「S&P500最強」との評価が定着しているが、今後、為替相場が円高という見通しになれば、これまで通り「S&P500インデックス」を中心に据えた投資だけでは難しくなる。もっとも、必ず円高に進むと決まっているわけではない。「S&P500」と「日経225」の人気がどのように変化していくのか注目していきたい。
◆トップ10の半分はグローバル・バランス型ファンドゆうちょ銀・郵便局の売れ筋の特徴は、トップ10の半分をグローバル・バランス型ファンドが占めていることだ。他の金融機関では、アクティブ型の株式ファンドなどがトップ10に数本入ってくることが多いが、ゆうちょ銀・郵便局では「インデックスファンド」と「グローバル・バランス型ファンド」という2択になっている。しかも、インデックスファンドが、国内、米国、先進国、全世界など投資先を選べるように、「グローバル・バランス型ファンド」も「4資産」と「6資産」で、さらに「安定」、「安定成長」、「成長」などといったコースから選べるようになっている。これらのファンド群では、多様な資産の組み合わせやリスクからバランス型ファンドを選べるのも大きな特徴だろう。
「JP4資産バランスファンド」は、国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券の4つの資産に分散投資する。資産配分比率は、「安定コース」が債券7割・株式3割、「安定成長コース」が債券5割・株式5割、「成長コース」は債券3割・株式7割という比率になっている。国内資産に65%~75%を割り振るため、国内資産中心のポートフォリオになっている。この3コースはスイッチング(切り替え)ができる。また、この3コースとは別に「JP4資産均等バランス」がある。このファンドは、4つの資産に均等に投資するため、国内資産と海外資産の比率も50%ずつとなる。公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の現在のポートフォリオと同じ配分比率だ。
「野村6資産分散投信」は、国内株式・国内債券・国内リート(不動産投信)と外国株式・外国債券・外国リートの6資産を投資対象としている。「安定コース」は債券7割・株式2割・リート1割、「分配コース」は債券7割・株式2割・リート1割だが、外国債券の比率が大きい。「成長コース」は債券2割・株式7割・リート1割の比率。さらに、運用会社がその時々で最適と考えるコースに自動的に切り替えてくれる「配分変更コース」がある。そして、この4コースとは別に6資産に均等に配分する「野村6資産均等バランス」がある。
多彩なバランス型ファンドのラインアップになっているが、それぞれのファンドのパフォーマンスをみると、「JP4資産バランスファンド」の「安定コース」は3年(年率)トータルリターンが3.61%、「安定成長コース」が同7.27%、「成長コース」が同10.90%。そして、「JP4資産均等バランス」が同8.94%だ。「野村6資産分散投信」は、「安定コース」が同2.14%、「分配コース」が5.40%、「成長コース」が12.11%、「配分変更コース」が5.08%、「野村6資産均等バランス」は同7.34%になっている。7月の売れ筋は、このリターンが高い順番に並んでいる。分散投資することでさまざまな景気や市場の変動に対応できるポートフォリオを作りつつ、その中にあって最もリターンの高いファンドが支持されるのは、わかりやすいファンド選びの動きといえる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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