老後の一番の頼りは「公的年金ではない」という人たちはどう準備しているのか? 世代別に明確な傾向も【iDeCo&年金最新データ】
Finasee / 2024年9月2日 12時0分
Finasee(フィナシー)
7月末のiDeCo新規加入者数は昨年比やや減、第1号加入者は12%増
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の最新概況が2024年9月2日に国民年金基金連合会より発表され、2024年7月の新規加入者数は3万4777人(前年同月比92.1%)、加入者総数は339万9611人(同112.3%)となりました。
新規加入者数の内訳は、第1号加入者が5091人(同112.8%)、第2号加入者が2万7803人(同88.7%)、第3号加入者が1508人(同94.4%)。第1号が昨対で大幅増加、第2号、第3号は減少傾向にあります。
また、iDeCoの平均掛金額は1万6046円。内訳は第1号加入者が2万8019円、第2号加入者が1万4500円、第3号加入者1万4671円となっています。拠出限度額が高い第1号加入者が最も多くなっています。
なお、従業員のiDeCoに企業が掛金を上乗せ拠出するiDeCo+(イデコプラス、中小事業主掛金納付制度)は7979事業所(同124.0%)で実施、対象者数は5万715人(同122.8%)となりました(2024年7月末)。
iDeCo新規加入者数の推移(2024年7月)、出所:iDeCo公式サイト「加入等の状況」「公的年金に頼る」分岐点は40代、「自力で稼ぐ」が最多の30代以下老後資金についてみなさんはどんな準備をしているのか、厚生労働省の社会保障に関する意識調査のデータから見てみましょう(出所:令和4年 社会保障に関する意識調査報告書~社会保障における公的・私的サービス~ )。
まず老後の生計を支える手段について「1番目に頼りにするもの」は何かを聞いたところ、40代以上ではいずれも「公的年金(国民年金や厚生年金など)」が最多となりました。一方で20代、30 代では「自分または配偶者の就労による収入」が最も多く、それぞれ約4割。続いて「公的年金(国民年金や厚生年金など)」が約3割となりました。
また65 歳以上では「公的年金(国民年金や厚生年金など)」が 7割超、「自分または配偶者の就労による収入」は1割以下でした。
出所:「令和4年 社会保障に関する意識調査報告書~社会保障における公的・私的サービス~」(厚生労働省、以下同)50代以下は「他年金と組み合わせて」老後を乗り切る実際のところ、公的年金のみで本当に大丈夫なのでしょうか。調査では今後の老後の生活を支える年金給付等のあり方についても聞いています。その望むべき姿について全体での回答は半々に分かれました。
「公的年金のみ派」とも言える、「公的年金に要する税や社会保険料の負担が増加しても、老後の生活は公的年金のみで充足できるだけの水準を確保すべき」が 44.0%。一方で、「他年金と組み合わせ派」とも言える、「公的年金を基本としつつも、その水準は一定程度抑制し、これに企業年金や個人年金、貯蓄などを組み合わせて老後に備えるべき」が約42%でした。
出所:厚生労働省年代別の回答の傾向は50代が分岐点と言えそうです。60 代以上になると「公的年金に要する税や社会保険料の負担が増加しても、老後の生活は公的年金のみで充足できるだけの水準を確保すべき」という「公的年金のみ派」が最も多く、反対に50代以下では「公的年金を基本としつつも、その水準は一定程度抑制し、これに企業年金や個人年金、貯蓄などを組み合わせて老後に備えるべき」という「他年金と組み合わせ派」が最多となっています。
出所:厚生労働省若い世代ほど現実を見据えて自助努力にまい進する様子が伺えます。では実際にはどのように老後資金を準備しているのでしょうか。
「個人年金」に加入している人はどのくらい?老後資金を準備する方法の一つである民間の個人年金ですが、加入している人は約3割でした。年齢別に見ると30代~60代では3割超が加入しています。また、所得が増えるほど加入している人が多くなり、1000 万円以上では半数が加入していることが分かりました。
出所:厚生労働省個人年金に加入している理由を聞くと、「公的年金だけでは、生活に不安があるから」が約63%と最も多く、次いで「公的年金制度の将来に不安があるから」が約54%でした。
出所:厚生労働省年齢別では、50歳未満で「公的年金制度の将来に不安があるから」が最多、特に20代では約半数。さらに20代は「家族や知人などに勧められたから」が約15%と他世代と比べて多いのが特徴的です。一方、50代以上では「公的年金だけでは、生活に不安があるから」が最多となっています。
出所:厚生労働省一方で個人年金に加入していない人にもその理由を聞いています。「保険料を払えないから」が最多の約半数、続いて「公的年金制度に満足(信用)しているから」「将来のことは分からず、今の方が大事だと思っているから」がそれぞれ約2割、「勤務先の企業年金や確定拠出年金などに加入しているから」は約1割です。
出所:厚生労働省役に立っているのも年金、充実させてほしいのも年金
調査では、社会保障全般についても質問しています。「国民生活に役立っていると考える社会保障分野」として最も多く挙げられたのが「老後の所得保障(年金)」で約65%、次いで「医療保険・医療供給体制など」が約54%。年齢別では、40代以下では「医療保険・医療供給体制など」が最多、50代以上では「老後の所得保障(年金)」が最多でした。
出所:厚生労働省一方で、「今後充実させる必要があると考える社会保障の分野」については、「老後の所得保障(年金)」が最多で約64%、次点が「老人医療や介護」約43%。年代別では20代、30代では「子ども、子育て支援」が最も多く5割を上回りました。40代以降は「老後の所得保障(年金)」がそれぞれ最多でした。
出所:厚生労働省なお、この調査は医療、介護、年金、子ども・子育て支援など社会保障における自助・共助・公助のバランスのあり方に関する意識調査として厚生労働省により2022年7月に実施され、全国7128人の回答を集計、2024年8月27日に結果が公表されています。
自身の世代や親世代などのデータを参考に、利用できる年金の制度やサービス・商品を今一度見直してみてはいかがでしょうか。中でもiDeCoは掛金の積立時、運用時、受取時の3段階で税制優遇が受けられる制度。制度改正が進み加入しやすくなっており、現在では65歳未満で国民年金に入っている人なら基本的に加入できます。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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