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株価下落時も首位独走の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」、楽天、SBIはランクダウン

Finasee / 2024年9月5日 6時0分

株価下落時も首位独走の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」、楽天、SBIはランクダウン

Finasee(フィナシー)

ネット証券の投信売れ筋ランキングの2024年8月のトップは前月と同様に同率で「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になったが、第3位に前月のトップ10圏外から「SBI 日本株4.3ブル」がジャンプアップし、第10位に「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」が食い込むなど、日本株式インデックスファンドがランクを上げた。同ポイントの第3位に「iFreeNEXT FANG+インデックス」が残ったものの、日本株式インデックスに席を譲るように「楽天・S&P500インデックス・ファンド」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」などが順位を落とした。「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は前月の第9位から、トップ10圏外に落ちた。

他社の米国株式インデックスファンドが8月の株価下落でランキングを落とす中、「eMAXIS Slim」の「S&P500」と「オルカン」がブランド力の強さを感じさせた。 日本株のインデックスファンドが評価を高めても、そのブランド力にはかなわなかったということだろう。

 

ランキングは、投信の販売額で群を抜いているSBI証券と楽天証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、2社のランキング10位までのファンドの点数を集計し、点数の多い順に並べた。

◆8月の急落から復活した米国株価を日本株価は追う?

8月は7月末の日銀の利上げを嫌気して日本株式が急落することから始まった。8月1日に「日経平均株価」が975円安、翌2日には2216円安と続落し、翌営業日の5日には史上最大幅の下落となった4451円安を記録した。7月末に3万9101円だった日経平均株価は5日の終値が3万1458円と3万円割れを意識させられる水準にまで落ち込んだ。3万1000円台は昨年末の水準を下回り、昨年10月時点の株価の水準になった。そこから株価は急反発し、6日は史上最大の上げ幅になる3217円高となり、8月末まで下値を切り上げる動きに転じた。

この間、米国株式市場は日本と比較すると落ち着いた値動きだった。日本の株価急落を受けて8月5日までは大きく下げたものの、その下げ幅や下落率は日本株式と比較すると小さく、8月下旬には「S&P500」は再び史上最高値更新をうかがう水準にまで株価は戻った。「NYダウ」は8月26日以降、連続して史上最高値を更新している。7月末比で8月の下落率を振り返ると、「日経平均株価」はマイナス19.55%だったが、「S&P500」はマイナス6.08%だった。

米国株式の回復と史上最高値更新に向けた動きは、日本株式に対する強気の見通しを支える要因になっているだろう。米国株式は「割高」と言われ続けながら、それでも史上最高値を更新し続けている。米国株式に対して出遅れていると言われてきた日本株式が米国株式の高値更新を追いかけて上昇するのではないかという期待が持てる。日本株式の史上最高値は、終値で7月11日に付けた「日経平均株価」が4万2224円、「TOPIX(東証株価指数)」で2929ポイント。8月末時点では「日経平均株価」が3万8647円、「TOPIX」は2712ポイントだ。高値まで8~9%も下回っている。8月に日本株式インデックスファンドや、株価の上昇率の数倍に相当する値上がり(値下がり)になるブル型の「4.3倍ブル」などが人気になったのは、日本株価の復調への期待が高いためだろう。

◆トップ10圏外に落ちた「世界半導体株投資」の行方

「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は、半導体株の象徴的な存在であるエヌビディアの株価に大きな影響を受ける。エヌビディアの株価は、8月28日に発表した第2四半期決算(5-7月期)の内容が好調だったにも関わらず、その決算を受けて前日比6%強も下落した。決算内容は、売上高が前年同期比2.2倍、純利益が同2.7倍という好調な内容で、次期の第3四半期(8-10月)の売上高予想も約325億ドルと、市場予想の平均317.7億ドルを超える強気の見通しだった。好決算に加えて500億ドルの自社株買いをも発表しても株価が下落するというのは、これまでに同社株価がいかに割高な水準にあったかということを示しているようにみえる。

エヌビディアの株価は、2022年12月末の14.61ドルが、2023年12月末には49.52ドルに1年間で3.4倍に上昇した。そして、2024年6月の高値は140ドルを超えた。2023年6月の株価は約39ドルであったので、1年間で株価が3.6倍になっている。しかし、2024年第2四半期決算の純利益の成長は2.7倍だ。企業の実態よりも株価は先を急いで上昇している。今後も市場の予想を上回る決算を維持できれば、今の株価は妥当だといえるのだろうが、果たして、それは実現可能なのだろうか? そのような逡巡が決算発表後の株価下落には表れているようにみえる。

「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」の基準価額(分配金込み)は7月11日の最高値19万9424円から、8月6日に13万5732円に下落して、8月末は15万4127円だ。「S&P500」が7月の史上最高値にほとんど届くほどに回復していることと比べると、同ファンドの基準価額の戻りは鈍い。今回の株価上昇の背景になった「AI(人工知能)の実用化」という将来は半導体産業の明るい未来を約束しているといえるだろう。それがすべてエヌビディアにかかっているわけではないし、ファンドは24銘柄に分散投資もしている。半導体産業の長期的な成長に投資するという観点に立てば、このまま消えてしまうファンドではないと考えられる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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