「安く買って高く売る」はほぼ無理…「資産形成はインデックス投資信託でOK」といえる“これだけの理由”
Finasee / 2024年12月26日 16時0分
Finasee(フィナシー)
老後資金2000万円問題や新NISA開始もあって、今までにないと言えるほど多くの人が資産形成に関心を寄せています。
しかし、そうしたムーブメントがあれば、必ず現れてくるのが「ネットにあふれる玉石混交の金融情報」。こうした状況に対し、元・金融庁官僚でマネックスライフセトルメント代表取締役の我妻佳祐氏は、「ほんとうに必要な金融の知識は、それほど多くもない」と警鐘を鳴らします。
そんな、“必要最低限の金融知識”を説く話題の書籍『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』から、投資信託の選び方について解説した箇所をお届けします。(全4回の2回目)
●第1回:似ているようで違う!? インデックス投資信託でよく見る「日経平均」「TOPIX」、両者の違いとは
※本稿は、我妻佳祐著『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』(幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。
インデックス投資信託は経済全体に連動して値が動くここで、投資に関する有名な格言を紹介しましょう。
「卵はひとつのカゴに盛るな」
これは、分散投資の大切さを教える言葉です。
割れやすい卵をひとつのカゴに盛ると、うっかりそのカゴを落としたときに、卵が全部ダメになってしまうでしょう。しかし卵をいくつものカゴに小分けにしていれば、カゴをひとつ落としたとしても、多くの卵が無事に残ります。
投資もそれと同じ。ひとつのカゴ(銘柄)に卵(資金)をすべて投入すると、その銘柄が値下がりしたときに大損失が出てしまいます。資金を小分けにして、いろいろな銘柄に分散投資をしたほうが、リスクが小さいのです。
投資のプロに任せるアクティブ投資信託も、なるべくリスクを小さくするための工夫はしています。ひとつのカゴに卵を集めるわけではありません。ファンドマネージャーの選んだ複数のカゴに、分散投資をします。
でも、そのカゴの数はあまり多くありません。投資のプロが「ここが値上がりする」と思って卵を多めに盛ったカゴを落としてしまったら、たとえ残った卵が無事でも、全体としては大きな利益にはならないでしょう。それがアクティブ投資信託のリスクです。
一方、インデックス投資信託は、TOPIXや日経平均を見ればわかるとおり、たくさんのカゴに少しずつ卵を盛ります。そのうちのいくつかを落としたとしても、全体が受けるダメージは相対的には小さくなります。
インデックス投資信託は大局観にベットする投資である以上、もちろんインデックス投資信託にもリスクはあります。でも、ふつうの投資信託と違って、運用成績の良し悪しを左右するのは専門家の手腕ではありません。インデックス投資信託の場合は、それが連動している市場全体の指標に左右されます。運用成績が下がるのは市場全体の株価などが下がったときです。
個別の株式銘柄と同様、市場全体の平均株価も、短期的には上がったり下がったりします。したがってインデックス投資信託も、買ってから数力月後には値下がりしているかもしれません。
でも、長期的に見た場合は、話が違ってきます。日本の経済も、世界の経済も、大きな流れを見れば右肩上がりに成長してきました。戦争や自然災害やコロナ禍のような出来事の影響で一時的に経済が低迷することはありますが、やがてそれを乗り越えてまた上向いていくのです。日本の株式市場は 2024年2月22日にバブル崩壊後の最高値をつけました。バブル崩壊から立ち直るのに35年かかったということにはなりますが、スピードは遅いながらも日本経済も衰退しているとまではいえないということでしょう。その後、日経平均株価は同年7月11日に史上最高の4万2426円をつけたあと、8月5日には3万1156円まで下がるというジェットコースターの様相を呈していますが、きっとこの試練も乗り越えてくれると思います。世界に目を向ければ 、これからもおそらく経済全体は成長していくでしょう。
経済全体が成長していけば、平均株価をはじめとする市場全体の指数も伸びていくと考えられます。したがって、それに連動するインデックス投資信託の運用成績も、10年、20年という長いスパンで見れば上がっていくことが期待されます。
個別株式の投資法に「割安なときに買って割高なときに売る」という「それができれば苦労しないよ」というものがあるのですが、インデックス投資信託はそういったことを考える必要がありません。長い目で見ればまだまだ人類は進化するという大局観にベットするのがインデックス投資信託だといえるでしょう。
金融地獄を生き抜け著者名 我妻佳祐
発行元 幻冬舎
価格 1,144円(税込)
我妻 佳祐/マネックスライフセトルメント代表取締役
1981年生まれ、山形県米沢市出身。99年、京都大学理学部数学科入学。2006年、京都大学大学院理学研究科修士課程にて生命保険の研究で修士号を取得する。同年、金融庁に入庁。保険、証券、開示、銀行等金融行政に幅広く関わる。14年、京都大学大学院理学研究科博士後期課程を修了し、生命保険の研究で博士号を取得。19年に金融庁を退官。その後、アクセンチュア等のコンサルティング会社勤務を経て、21年に生命保険の買取サービスを提供する株式会社ライフシオンを設立。24年よりマネックスグループ株式会社傘下のマネックスライフセトルメント株式会社にて代表取締役として引き続き生命保険の買取サービスを提供するとともに、光通信グループの保険事業のアドバイザリーなど、保険・金融コンサルタントとしても活動中。
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