1位は「日経225ノーロードオープン」! 金融株への見直しは続くか?(24年11月の国内株ファンド)
Finasee / 2024年12月26日 17時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「国内株式型」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「日経225ノーロードオープン」になった。前月は圏外だったところから、いきなりトップに躍り出た。この他、第4位の「ダイワ金融新時代ファンド」、第5位の「大和住銀DC国内株式ファンド」などトップ15の中で7ファンドが前月はトップ15圏外だった。人気ファンドの入れ替わりが激しく、市場の潮流の変化を感じさせるが、新たにランクインしたファンドは「日経225」のインデックスファンドが多く、米国株インデックスが史上最高値を更新する中で出遅れ感が強まった国内株式への見直しが進んでいるとも考えられる。
◆国内株インデックスとしての「TOPIX」の低迷国内株ファンドの資金流入額ランキングのトップ15のうち、国内株を代表するインデックスに連動するファンドは10本を占め、そのうち9本は「日経225」に連動するインデックスファンドだった。もう一つの代表的なインデックスである「TOPIX」に連動するインデックスファンドは1本しかなかった。そもそも国内を代表する225銘柄の平均株価で値がさ株の価格変動の影響が大きな「日経225」と、旧東証1部(現プライム)上場の全銘柄の時価総額加重平均で構成されて大型株の動きに影響されやすい「TOPIX」というのは性格の異なる株価指数として併用されてきた。
そして、「TOPIX」は年金基金や保険会社など、いわゆるプロの投資家が国内株式市場の運用成績をはかるベンチマークとして使用するケースが多く、どちらかといえば、信頼性の高い指数というイメージがあった。「日経225」は2000以上の中から225銘柄を選定するという作業の中で「恣意(しい)性」が排除されないという見方があり、歴史的には長く使われ個人投資家の間でも浸透している指数として一定の評価を得ていたものの、機関投資家の評価は決して高いとはいえなかった。
ところが近年、「TOPIX」の評価が下がっている。ひとつには、2023年3月に東証がPBR1倍割れ企業に企業価値改善のための取り組みを促したように、東証に上場している企業のすべてがクオリティの高い企業とは決して言えないことが改めて意識させられたことがある。東証の新市場区分(プライム、スタンダード、グロース)の振り分けも2025年3月に経過措置が終了する。現在は、経過措置の途上にあるということも評価が定まりにくい要因の1つだろう。
2つの指数は、過去のパフォーマンスには大きな違いはない。「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の過去1年、3年、5年のトータルリターンは15.94%、45.16%、79.03%に対して、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は同様に15.40%、49.29%、76.77%だ。それでも資金流入の状況に大きな違いがあることは、今後の国内株インデックスを選択する際に注意をしておきたいポイントだ。
◆割安に放置されてきた「金融」株に注目が集まる月次のパフォーマンスのトップは「ダイワ金融新時代ファンド」の8.06%だった。このファンドは資金流入額ランキングでも第4位に入っている。パフォーマンスの第2位は「日本郵政株式/グループ株式ファンド」の6.79%で、これも「金融」関連のファンドだ。金融関連銘柄が注目される理由は、国内経済にインフレ(物価上昇)が定着しつつあり、日銀が利上げ政策を進めているところにある。長らく続いたゼロ金利・マイナス金利政策が終わり、2024年3月に17年ぶりの利上げに踏み切った日銀は、7月末に政策金利を0.25%に引き上げた。この結果、日銀当座預金を保有する民間金融機関の受取金利は0.25%であるのに対して、都市銀行の普通預金金利は0.1%程度に設定されており、「金利のある世界」のもとで銀行の利ざやが拡大している。今後も日銀が利上げのスタンスを崩さない限り、銀行業は日銀の追加利上げによる業績拡大が期待される。
ただ、実際には日銀は12月の政策決定会合での追加利上げを見送り、2025年1月の政策決定会合で利上げするどうかも流動的だ。日銀の追加利上げは国内の賃金上昇が継続し、緩やかなインフレが続くような経済環境を維持できる見通しが持てるかどうかにかかっている。
一方、長らく続いた超低金利の環境では、銀行をはじめとして国内の金融関連株式が割安な水準に置かれてきた。「ダイワ金融新時代ファンド」は2024年10月末時点で組み入れ銘柄の71%がPBR(株価純資産倍率)で1倍割れになっているとレポートしている。同時期にTOPIXのPBR1倍割れは27%だ。また、「金利のある世界」に戻って収益性の改善が見込まれることから、銀行などは自社株買いや増配など株主還元の充実を打ち出すところが多い。この動きを評価した金融株の割安是正の水準訂正の動きは期待できそうだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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