1位は「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」! 新設ファンドに人気集まる(24年11月の外債ファンド)
Finasee / 2024年12月30日 7時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「外国債券型」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」の約121億円だった。第2位は「同(年4回・ヘッジなし)」の68億円で、第3位以下に「フォントベル・世界割安債券ファンド」の3本が続いた。このトップ5は11月に新規設定されたばかりのファンドだった。前月1位の「先進国米ドル建て債券ファンド2024-10(限定追加型)」、第2位の「日本企業社債ファンド2024-10」もともに10月新規設定ファンドであり、新規設定ファンドへの流入が続いている。
◆新規設定ファンドに資金が流れる新規設定ファンドが資金流入ランキングの上位を占めるという状況は、既存ファンドに魅力がないことの裏返しだ。2008年の「世界金融危機(リーマン・ショック)」後に続いてきた長い低金利時代のために、インカムゲイン(利息収入)が少なく、キャピタルゲイン(値上がり益)では株式ファンドに圧倒的に劣るという「良いところなし」のイメージが、債券ファンド全般に定着してしまった影響が大きいと言える。実際に過去15年程度の期間は、株式が債券に対して優位なリターンを残し続けてきた。
たとえば、「S&P500(配当込み、円建て)」の過去15年は年率リターン18.2%、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) (円)」は同14.2%だ。国内株式の「TOPIX トピックス (配当込み)」でも同10.5%になった。これに対して先進国債券の代表的な指数である「FTSE/シティグループ 世界国債インデックス (除く日本、円)」は同4.6%、新興国債券インデックスの「JPモルガン エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・グローバル(円)」は同8.4%という水準だった。中国の失速によって調子の悪かった新興国株式の「MSCI エマージング・マーケット・インデックス (円)」は同7.5%だったため、新興国株式に投資するのであれば、新興国債券に投資した方がよかったという結果ではあったが、それよりも先進国の株式に投資していれば、圧倒的に高い収益を獲得することができたのである。
一方、2020年3月のコロナ・ショック後の世界協調利下げによってインフレが加速し、そのインフレを抑え込むために欧米の中央銀行は2022年以降に急速な利上げを行った。欧州中央銀行のECBは2024年6月に政策金利を年4.0%から3.75%に引き下げて利下げ政策に転じ、9月には米FRBが0.50%の利下げを実施して政策金利を4.75~5.00%にした。今後は欧米ともに利下げを継続していくものと考えられており、金利低下局面は債券投資にとっては債券価格の上昇が期待される追い風の局面になる。直近に設定された債券ファンドは、この利下げ局面の追い風を受けるファンドとしての期待もあり、人気化しているものと考えられる。
◆レバレッジを使って金利・配当収入を増大パフォーマンスランキングのトップは「ダイワ米国リート・プラス(毎月分配型)為替ヘッジあり」の2.54%だった。債券ファンドのリターンの水準は依然として低く、従来型の債券に投資しているファンドでは月次のリターンが5%を超えるような成果は期待しづらい。11月のリターンランキングはスワップ取引などを使ったレバレッジの効果で純資産額を上回るポジションをとることができるファンドが上位を占めた。
「ダイワ米国リート・プラス」は米国リートと米ドル建てのバンクローン等の投資成果に連動する債券に投資する。米国リートへは直接投資するのではなく米国リートへの投資成果を享受するスワップ取引を行うことで米国リートの配当や値上がり益を獲得するようにしている。米国バンクローンは、信用格付けの低い貸出先のローンであるため、ハイ・イールド債券に匹敵するような高い利回りが期待できる。これらを合わせて投資した結果、「ダイワ米国リート・プラス(毎月分配型)為替ヘッジあり」は11月末時点で過去1年間のトータルリターンが18.5%という高いリターンを残している。
リターンランキングで「ダイワ米国リート・プラス」に次ぐリターンは「債券パワード・インカムファンド(毎月分配型)」の1.62%だった。このファンドは、米国の国債、ジニーメイ債、投資適格社債およびハイ・イールド社債に分散投資を行い、レバレッジを活用することにより、インカムゲインの獲得をめざし、全体のレバレッジを200%~500%の間で機動的に変更して運用している。11月末時点で過去1年間のトータルリターンは11.60%になった。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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