1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

新NISAを始めたのですが「投資信託は純資産総額が大きい銘柄を選ぶと良い」と聞きました。本当ですか?

Finasee / 2025年1月17日 8時0分

新NISAを始めたのですが「投資信託は純資産総額が大きい銘柄を選ぶと良い」と聞きました。本当ですか?

Finasee(フィナシー)

投資信託の選び方を調べると、ときどき「純資産総額が大きい銘柄を選ぶ」と解説する記事に出会います。しかし、運用の優劣は純資産総額で単純に決まりません。また初めて資産運用に取り組む場合、そもそも純資産総額の意味がわからないというケース想定されます。

今回は純資産総額に焦点を当ててみましょう。純資産総額の意味と、純資産総額に関するよくある誤解について紹介します。

純資産総額は投資家に帰属する部分 運用規模の大きさを表す

純資産総額は、投資信託の運用規模を測る尺度としてよく利用されます。純資産総額が大きいほど、その投資信託は多くの金額を運用しているといえます。

より正確に説明すれば、純資産総額は投資家に帰属する金額を指す言葉です。投資信託が保有する株式や債券といった有価証券の時価評価額と、利息や配当金などの収入を足し合わせた金額から、解約金や信託報酬といった未払いの負債を控除した金額が純資産総額となります。

つまり、資産から将来に発生する必要経費を差し引き、実質的に投資家の手元に残る金額の総計が時価総額です。

・資産総額:保有証券の時価評価額+利息や配当金などの収入
・純資産総額:資産総額-信託報酬などの負債

ちなみに、投資信託の値段である「基準価額」は、純資産総額を総口数で割って算出されます。このことから、純資産総額は基準価額×総口数と表すこともできます。

「純資産総額は多ければ多いほど良い」の誤解

冒頭でお伝えしたとおり、純資産総額はよく「大きいほどよい」と解説されます。その根拠として「純資産総額が大きいほど運用効率が高まる」と説明されることが多いようです。

しかし、これはやや短絡的かもしれません。純資産総額の適切な水準は、投資対象や運用の方法などで変わります。単純な大小をもって運用の優劣を説明することは困難です。

例えば、投資信託は信託金の限度額を低く設定している場合があります。運用効率が純資産総額に比例するなら、できるだけ資金を集めればいいはずです。しかし、実際には一定額まで資金が集まると、申し込みの受け付けを停止する投資信託が少なくありません。

これは市場規模が比較的小さい資産で運用される銘柄などで見られます。中小型の株式で運用されるものや、特定の銘柄群へ集中投資するファンドなどが代表的です。

投資対象の市場規模が小さいと、そこへ投下できる資金も限定されます。これを超える額の投資は、かえって運用効率が低下してしまう懸念があります。そこで信託金に上限を設け、過度に資金が集まらないようにしているのです。

ファミリーファンドやファンド・オブ・ファンズが主流 小さいファンドも大きく運用

さらに「ファミリーファンド方式」や「ファンド・オブ・ファンズ方式」の場合、純資産総額が小さいからといって運用効率が下がるとは言い切れません。

ファミリーファンド方式とは、複数の投資信託を1つのマザーファンド(親ファンド)で運用する方法を指します。私たちが直接に購入する投資信託はベビーファンド(子ファンド)の位置づけで、実質的な運用はマザーファンドが担います。純資産総額が小さい銘柄も、マザーファンドで大規模に運用されている場合があります。

一方ファンド・オブ・ファンズ方式とは、1つの投資信託(ファンド)を複数の投資信託(ファンズ)で運用する方法です。ファミリーファンド方式と同じく、投資家の資金は投資先のファンドで十分に大きい規模で運用される場合があります。

そして、投資信託の多くはこれらの方式で運用されます。単位型とETFおよび公社債投信を除くと、純資産総額の上位10銘柄はすべてファミリーファンド方式です。純資産総額を1000億円未満に絞っても、上位10銘柄はいずれもファミリーファンド方式またはファンド・オブ・ファンズ方式が採用されています。

純資産総額が小さい投資信託も、実際にはまとまった額で効率的に運用されることが多いのが実情です。純資産総額の小ささが、運用効率の低さに直結するわけではありません。

繰り上げ償還は投資家の投票で決まる

最後に「純資産総額が小さい銘柄は繰り上げ償還される」という説についても触れておきます。繰り上げ償還とは、信託期間の満了前に償還(現金化)してしまう手続きです。「純資産総額は大きいほどいい」とする解説は、これを論拠にするものもよく見られます。

確かに純資産総額の小さい銘柄は繰り上げ償還されやすいと考えられます。投資信託の多くは、総口数が一定を下回ったときに繰り上げ償還される可能性があることを定めています。純資産総額の小さい銘柄は基本的に総口数も少ないため、繰り上げ償還の条件に抵触しやすくなるでしょう。

繰り上げ償還の条件は目論見書に記載されています。投資したい銘柄を見つけたとき、その純資産総額の小ささが気になったときは、事前に確認しておきましょう。

なお、繰り上げ償還の判断は、最終的には投資家の投票で決定されます。繰り上げ償還を実施するためには、原則として投資家から一定以上の賛同を得る必要があります。強制的に行われるわけではないので、その点は安心してください。

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください