U-23日本“好パフォーマンス”に海外脱帽…「本来の姿見せた」大一番での変貌ぶりに驚き【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年4月30日 18時10分
■パリ五輪行き決めたU-23アジアカップ準決勝のイラク戦を英記者総括
U-23日本代表は現地時間4月29日、パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップ準決勝でイラクを2-0で下し8大会連続の五輪出場を決めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏がこの試合を総括し、大岩ジャパンの勝利に値するパフォーマンスを称えている。
◇ ◇ ◇
ついに日本が本来の姿を見せた。ぎこちなさや躓きがあり、必ずしも説得力を示すことができない2週間だったが、大岩剛監督率いるチームはオリンピック本大会の出場権を獲得し、U-23アジアカップ2度目の優勝まであと90分となった。
良いチームというものは大事な時にこそ結果を出すものだ。日本はラディ・シェナイシル監督のチームに対し、その前の4試合では時折しか見せていなかったような方法で勝利を収めた。
前半45分で、サムライブルーはイラクをはるかに上回っていた。細谷真大と荒木遼太郎のゴールは彼らの積極的かつエンターテインメント性にあふれたパフォーマンスに対する報酬だった。
そんな日本の中心にいたのは藤田譲瑠チマだった。中央のポジションでチームの舵を取っていただけでなく、イラクの守備の中央をこじ開けるようなパスを供給していた。イラクはそれに抵抗することができていなかった。
今大会の日本は、酌量すべき事情もあったとはいえ、信頼性に欠ける戦いが続いていた。中国戦での西尾隆矢の退場によってスタートから躓き、大岩監督のローテーションもどこかチグハグな印象だった。
しかし、この試合では、特に攻撃的なポジションにおいて監督がうまく機能するチームを見つけたようだった。
藤田と松木玖生、荒木遼太郎は中盤で活発に動き回り、イラクの選手たちは困惑していた。彼らの混乱は山田楓喜と平河悠の両サイドのパフォーマンスによってより一層大きなものとなっていた。
特に平河は左サイドで脅威となっていた。サイドバックの背後に向かって何度も走り、カットバックやクロスでイラクを狼狽させていた。
細谷は攻撃の起点となっていた。彼の得点は完璧なボールタッチ、バレエのようなバランス、そして冷静なフィニッシュが組み合わさったものだった。藤田からの浮き球のパスをうまくコントロールし、ディフェンダーを交わすための時間とスペースを生み出すと、最後はボールをゴールへと流し込んだ。
これは序盤の攻防で主導権を握っていた日本にとって相応の得点だった。オリンピック出場権が懸かる大一番でさらなる得点が生まれることを期待させるものだった。
■指揮官は後半のパフォーマンスに不満、日本にとって最大の失敗は…
日本は、藤田の冷静かつ進歩的な影響力が鍵となり、巧妙にそして成熟したプレーでプレッシャーに対処していた。
キャプテンの藤田は2点目のゴールにおいても中心的な役割を果たした。左サイドの大畑歩夢が素晴らしい働きでボールを前線に運び、フィジカルの強さを生かしてスペースを作り、藤田へパスを送った。彼から荒木へのパスは見事だったし、フィニッシュも印象的だった。
ハーフタイムまでに点差がさらに開いていたとしてもイラクは文句を言えなかっただろう。それだけ日本が優位に立っていた。
イラクは必然的に後半の開始とともに試合を振り出しに戻す方法をアグレッシブに探し始めたが、日本の堅実な守備を前に突破口を見出すことができなかった。
大岩監督は後半のパフォーマンスには満足していないようで、コントロールを維持できなかったことに不満を漏らしたが、おそらく日本にとって最大の失敗は追加点を奪えなかったことだろう。
再開後わずか3分で3度のチャンスがあったが、いずれも決めることはできなかった。そのうち1つでも得点になっていれば、イラクの望みは完全に消えていたはずだ。
日本は試合を振り出しに戻されるリスクを常に抱えていた。イラクが1点でも奪えば、試合はさらに拮抗した展開になっていたはずだ。ブルンド・アザドのシュートがクロスバーを叩いたあとも、まだその可能性は残っていた。
しかし、後半の堅実な守備のパフォーマンスと、前半の攻撃の力強さによって、日本はオリンピックの出場権を獲得するとともに、U-23アジアカップの決勝にも再び辿り着いた。
月曜日のパフォーマンスを見れば、その結果は十分に値するものだったと言えるだろう。(マイケル・チャーチ/Michael Church)
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