横浜FMアジア制覇に「現実味」 ACL初戴冠へ…カメラが捉えた突破口となり得る瞬間【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年5月10日 14時20分
■【カメラマンの目】蔚山現代との準決勝第2戦、死闘で見せた頼もしさ
横浜F・マリノスのアジアチャンピオンの称号を懸けた戦いが近づいてきている。ライバルたちがアジア王者への戴冠を成し遂げるなかで、Jリーグ誕生から日本最高峰のサッカーリーグを支えてきた横浜FMは、その栄冠をこれまで手にすることができず後塵を拝してきた。
だが、いよいよライバルたちと肩を並べられるチャンスが巡ってきた。アジアの頂に到達するまで、残すは決勝戦のみのところまで勝ち上がってきたのだ。
横浜FMにとってはAFCチャンピオンズリーグ決勝の舞台を懸けた蔚山現代との準決勝は、まさに薄氷を踏む勝利だった。アウェーとなった第1戦を0-1で落として迎えたホーム第2戦。前半で次々と得点を重ね3-0とリードを広げた時は、これで勝負はあったかに思われた。
しかし、ホン・ミョンボ監督が率いる蔚山は手強く、そしてどこまでも冷静だった。1点を返された横浜FMは前半39分にペナルティーエリア内のハンドでPKを献上。このPKも決められスコアは3-2となり、さらにハンドを犯した選手が退場処分となったため、横浜FMはここから数的不利の状態での戦いを余儀なくされた。
蔚山は数的優位となっても焦るようなことはしなかった。横浜FMのゴール前まで進出しても強引に攻め落すようなプレーは見せず、マークに来る相手を交わしてパスをつないだ。そして、人数が少ない横浜FMの対応が遅れたところを見逃さず、プレッシャーを受けない状態を作り出してシュートを放ち、ゴールを目指した。ピッチコンディションが悪いなかでも冷静にプレーする姿からは、チームとしての完成度の高さが伺えた。
それでも横浜FMは蔚山の攻撃に耐え抜いた。試合は第1戦の0-1の結果と合わせて3-3となり延長戦に突入する。しかし、30分を戦っても決着がつかず、勝敗の行方はPK戦へと委ねられ、この激闘を横浜FMが制したのだった。
当然だが、横浜FMは10人で戦うことになってからは、守勢に回る時間が長くなった。しかし、苦境に立たされても、チーム力の高さは蔚山に引けを取らなかった。ゴール裏からカメラのファインダーを通して見た試合で、横浜FMの強さを感じたのは、劣勢の展開を強いられながらも守備陣が崩れることなく失点を許さなかっただけでなく、攻勢に転じる時間帯を作り出したところだ。
それは後半15分過ぎからわずか10分間ほどだったが、この時間帯の横浜FMには守勢になりながらもゴールを狙う姿勢が強く表れていた。実際に後半18分にはオフサイドとなったが、ヤン・マテウスのヘディングシュートが蔚山ゴールのネットを揺らしている。
■勝負どころを見極めて一気にパワーを使う巧妙策
10人で戦う横浜FMの立場から試合を考えれば、3-2の現状をキープしてPK戦で勝負というのが定石のところを、チームを鼓舞するサポーターの絶大な声援を受けるホームということもあってか、トリコロールの選手たちはなによりゴールを挙げてこの戦いに決着をつけようとしているのが見て取れた。その戦う姿に頼もしさを感じた。
後半、延長戦と数的不利となった展開で、戦術的に守り抜くことに成功し、そして勝ち越しゴールこそ記録できなかったが、勝負どころで攻勢をかけられた準決勝第2戦は、戦略的部分においてもチームにとって大きな経験となり、収穫にもなったことだろう。
アジア西地区との対決となる決勝の第2戦は、スタジアムの雰囲気を含めてタフな戦いとなることが予想される。だが、準決勝第2戦での10人で冷静に戦い、なおかつ反撃にも出た後半の10分間ほどのプレーに、横浜FMがタイトルを奪取するための突破口を見た。厳しい状況に置かれても試合の流れを読み取り、勝負どころを見極めて一気にパワーを使う巧妙で、強かなサッカーを決勝の舞台でも見せられれば、横浜FMのアジア制覇は現実味を帯びてくる。
まずはホームとなる第1戦の戦いぶりに注目したい。(徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ACL初の決勝進出も「僕が何かをやった大会ではない」…横浜FM“今季加入組”が抱く感謝の思い【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年4月26日 16時30分
-
「傑出していた」前半の3ゴールを振り返る横浜FMのキューウェル監督、PK戦を制しアジアタイトルへあと1つ「ただ試合を楽しむだけ」
超ワールドサッカー / 2024年4月25日 18時50分
-
横浜FMが死闘を制し「勝利に結びついた」訳 外国人指揮官が決勝に向けて掛けた言葉とは?
FOOTBALL ZONE / 2024年4月25日 13時20分
-
横浜FM守護神ポープの“データ”を上回った信念 事前に伝達も…PK戦をストップできた理由
FOOTBALL ZONE / 2024年4月25日 11時30分
-
10人で奇跡起こした横浜FM、0-1→3-1→3-3大激闘の末にPK戦でクラブ史上初のACL決勝進出!!
ゲキサカ / 2024年4月24日 22時7分
ランキング
-
1大谷翔平、警備員に“異例の要求” 子どもを見つけ神対応「開けてくれますか?」
Full-Count / 2024年5月20日 14時3分
-
2ケガやコロナだけが理由ではない…伊勢ケ浜部屋の所属力士41人中、約半数が休場のワケ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月20日 9時26分
-
3偉業達成!ダルビッシュが史上3人目の日米通算200勝「これでほっとできる」野茂、黒田に次ぐ快挙
スポニチアネックス / 2024年5月20日 11時6分
-
4高橋藍がサントリーに電撃移籍へ 来季から日本のSVリーグ参戦
スポーツ報知 / 2024年5月20日 14時2分
-
5指摘され続けた大谷翔平の“弱点”も…衝撃の修正力「.355」 米記者唖然の跳ね上がり
Full-Count / 2024年5月20日 15時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください