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監督が「あいつは気が小さい」 ミスで失点→同点弾…2年生に回ってきた10人目の大役

FOOTBALL ZONE / 2025年1月14日 10時20分

■前橋育英の柴野快仁は失点に絡み、同点ゴール、PK戦の決着をつけるキック

 失点に絡み、同点ゴールを決め、PK戦の決着をつけるキックを成功させる。前橋育英(群馬)の2年生MF柴野快仁にとって、1月13日の第103回全国高校サッカー選手権の決勝戦は激動の試合になった。

 7大会前と同じカードになった流通経済大柏(千葉)との決勝戦で、柴野はスタメン出場した。1回戦をフル出場したあとに体調を崩したという柴野は2回戦から準々決勝まで登録メンバーを外れ、準決勝の東福岡(福岡)戦でハーフタイムの交代で出場して後半のみプレー。そして、決勝に間に合った。それだけに、チームへの感謝も胸に秘めながらピッチに立った。

 しかし前半12分、最終ラインからのビルドアップで柴野にボールが入ったタイミングで奪われてしまう。「1つ奥へのパスを予想していて、準備ができていなかった」ところから失点につながった。久々のスタメン出場、そして6万人近い観衆の中でのプレーで起こってしまったことだけに、簡単なものではなかった。それでも「自分自身も焦りはあったけど、それでいつもの自分じゃなくなってしまったらチームに迷惑をかけてしまうと思った。そこからメンタル的には少し良くなった」と、気持ちを持ち直した。

 挽回のチャンスは前半の内にやってきた。右サイドでMF黒沢佑晟が技巧的なターンを見せると中央へクロスの体勢に入った。「ニアサイドに2枚いって、相手のセンターバックもついていった。その後ろに入ろうと思って、前にできたスペースに入っていった」という冷静な判断でゴール正面に走り込んだ柴野のところに黒沢のクロスが届く。それを冷静にヘディングで流し込んだ。これにより「プラマイゼロという感じ」と思える1-1の同点ゴールになった。

 その後は一進一退の攻防が続き、勝負は延長戦を終えPK戦にもつれ込んだ。前橋育英の山田耕介監督はゲームを観察しながら「調子がいい、乗っている選手、自分の感覚だけどそうやって順番を決める」方針だと話す。そこで柴野に与えられた順番は10人目と、滅多に回ってこないところだった。ゲーム中からキックの技術に問題を抱えているタイプには全く見えなかったが「あいつは気が小さいし、そんな感じです」と、指揮官は笑った。

 そんな順番だったのにもかかわらず、柴野には出番が訪れた。先攻の流通経済大柏のキッカーをGK藤原優希がストップ。決めれば勝ちのキッカーに向かう柴野に掛かった「もう終わらせてくれ」という藤原の言葉に「笑顔になって、自信を持てた」と話す。そして、「10番目は普通、あんまり回ってこない。今日は、持ってるなと。意外と平常心でやれた」という、指揮官の気が小さいとの評価を疑いたくなるような冷静さとGKのタイミングを外したキックで流し込んで決着をつけた。

 柴野自身は、そんな山田監督からの評価について「多分、しっかりしていないんで。自分で言うのも何なんですけど、どこか抜けているというか。こういう大舞台を任せられるような人じゃないと思ったんでしょう」と笑ったが、「回ってきたからには、『10番目にしたけど決めるよ』というところを見せたかったので、良かった」と、話した。

 そして柴野は「なんか、全部の感情を味わいましたね。やっちゃったという気持ちもあるし、点を決められてホッとした気持ちもあるし、えぐいくらい緊張もしたし、最後には最高の瞬間を味わうことができた」と激動の1試合を振り返った。

 ジェットコースターのような浮き沈みを味わった全国の決勝で得た経験値は計り知れない。この経験を最高学年に持ち上がれる2年生ボランチは、「先輩方が良いお土産を置いていってくれた。そんな簡単じゃないことは分かっているけど、連覇を狙えるのは前橋育英だけ。連覇をして、強いぞというのを見せたい」と次の舞台を見据えていた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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