BOOK 作家・吉川永青さん『華の蔦重』 歌麿・写楽・北斎らを世に送り出した希代の出版プロデューサー、蔦屋重三郎は流行を作り出す男
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月30日 10時0分
歴史上の人物の「心の内に分け入ってみたい」と吉川永青さんはいう。今回は来年のNHK大河ドラマの主人公になる「蔦屋重三郎(つたや・じゅうさぶろう)」。ブームを予感させる中で、江戸の希代の出版プロデューサー〝蔦重〟をどう描く?
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――蔦重は『写楽とお喜瀬』(2019年)で少し書いていますね
「このときの蔦重は『食えないヤリ手』といった世間一般で言われてきたイメージで書きました。今回は、自分の望む生き方をするために全力を尽くす男、ここで負けても悔いを残さない『大勝負』に出る男、として描いたつもりです」
――蔦重は戯作者や浮世絵師などそうそうたる顔ぶれを世に送り出した
「蔦重は『人を動かせる人間』。つまり『流行を作り出す男』ですね。今もそうですが、はやりというのはひとりでに起きるものじゃなくて、『起こす』ものでしょ。出版についても同じだと思う。どれだけうまくプロモーションをするかで流行が生み出される部分があります。蔦重はそんな能力にたけていたと思いますね」
――具体的に蔦重は何をした
「当代きっての人気戯作者だった『朋誠堂喜三二(ほうせいどう・きさんじ)』に別名で洒落(しゃれ)本を書かせたところなんかそうですよ。洒落本というのはちょっといかがわしい本、今でいう官能小説です。それを別名とはいえ、喜三二に書かせることによって洒落本を『娯楽の一ジャンル』として定着させた。こうした目の付け所がすごい」
――売れっ子を見いだす「目」も持っていた
「蔦重のスタートは貸本屋でした。貸本屋は面白い本をそろえないと、借りてもらえません。この当時から〝売れセン〟を見極める目を培っていたのでしょうね」
――江戸期に出版文化を花開かせた立役者
「(蔦重が営む耕書堂は)後発業者でありながら、最大手と目される版元にまで成り上がりました。江戸時代に出版文化を花開かせた立役者のひとりであり、華やかな存在であったでしょう」
吉原生まれ、吉原育ちの環境が“見極め”の源流
――蔦重は、吉原生まれの吉原育ち
「僕が読んだ研究書によれば、養父は吉原の妓楼の主、実の父親も吉原を根城にしていた大道芸人…。蔦重の貸本屋も吉原の女郎が顧客でした。こうした環境は、蔦重に大きな影響を与えたと思います。『人がどうやったら動いてくれるのか』ということを計るのに、歓楽街(吉原)のはやりすたりは、大きなバロメーターになったでしょうからね」
――時代背景が物語のキーワードに。緩やかな田沼意次の時代から一転、寛政の改革で出版業への締め付けは厳しくなる
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