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ぴいぷる フォークシンガー・小室等 〝ラブ〟は外せない「歌の力はすごい…人を救うことができる」 7年ぶりオリジナルアルバム「lovesong」リリース

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月27日 11時0分

フォークシンガーの小室等=11日、東京都新宿区市谷田町(酒巻俊介撮影)(夕刊フジ)

「歌は、自分の人生の先を照らしてくれる水先案内人かな。齢80を超えて、もう息も絶え絶えですけど、なんとかこう生きていけるのも歌があるからなんですよね」

フォークソングのレジェンドはそう話すと静かにほほ笑む。彼の歌声は穏やかだ。どこまでも穏やかだ。だが心の奥底に刺さってくる。

約7年ぶりとなるオリジナルアルバム「lovesong」(キング)をリリースした。それにしても、どストレートなタイトルだ。

「僕らが1960年代に海外から輸入されたフォークソングに飛びついたとき、まず出合ったのが〝ラブ〟という言葉でした。ボブ・ディランにしても、誰にしてもラブという言葉抜きにはありえなかったの。ラブの隣には反戦歌やプロテストソングもあったけど、やっぱり光っていたのはラブって言葉。だからアルバムタイトルにその言葉が出てくるのも、何の不思議もなかったね」

書き下ろしから再録音したものまで全11曲、さまざまな〝ラブ〟の形が描き出されている。詩は別役実や唐十郎、永六輔といったそうそうたる顔ぶれが並んでいる。

その中の1曲、「見えない配達夫」は詩人・茨木のり子の詩に自身で曲をつけた。

「茨木さんは僕らの親のように戦争を体験した世代で、僕は戦争を知らない世代。そういう方々がいて、僕らは今、この時代に生きてるんです。だからこそ茨木さんの言葉で、僕らも戦争に出合い直している。茨木さんの詩に出合えて本当にありがたいですね」

「木枯し紋次郎」(フジテレビ系)の主題歌で上条恒彦の歌でヒットした「だれかが風の中で」は初のセルフカバーで収録した。

「(オファーを受けたので)ドラマを手がける市川崑監督にヒントをもらおうと思い、おうかがいしたら、〝音楽のことはもう任せるから、いいように作ってくれたまえ〟なんておっしゃられて。それでもバカラックの『雨にぬれても』がお好きだと。私も好きだったので、バカラック風に作ってみたんです」と振り返る。

書き下ろしの「銀座ヤマハのラブソング」は、銀座七丁目にあるヤマハの楽譜売り場で働く〝きみ〟に会いたいと歌うシンプルなラブソングだ。実はこれ、ご本人のエピソードなのだ。

「当時、フォークに夢中な連中が、よくそこで輸入されてきた楽譜をあさっていたんですよ。彼女はそこの担当で、まあなんというか、後に僕の妻になった人です」と少し照れ笑い。

小室さんは楽譜探しと彼女に会うのとどっちが楽しかったのだろう。

「そこですよね、どっちなんでしょうね。随分昔のことだからねえ。妻に聞いておきます(笑)」とはぐらかされた。しかし聴いているだけで心が温まる曲だ。

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