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トップ直撃 日本女子大学・今市涼子理事長 元祖リケジョが描く、女子大の新たな進路 「文理融合」「STEAM教育」で凜と輝く女性に

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月6日 6時30分

――少子化や社会の変化で女子大には逆風が吹いていますか

「メディアは『女子大の危機』とおっしゃるが、私は逆にいま、女子大だからこその新たな可能性を感じています。私自身も本学での学生時代に経験しましたが、男子学生がいない環境では、いままで自分の内面に持っていた能力が引き出される場面もあるんですよ。本学の学生たちを見ていても、大学や教員に対して率直な意見を言いますからね」

――独立心が強くなる

「近年『アントレプレナーシップ(起業家精神)教育』の必要性を政府もやっと言い始めましたが、うちの卒業生たちは、女子大学の中で、医大を除いて女性経営者の輩出でトップなんですよ。本学には時代の先駆者となる自立した女性を育てる素地があります。理事長になってからは特に『STEAM教育』とともに『グローバル教育』『キャリア教育』の3本柱に注力しています。幼稚園から大学まで、さらにその先の生涯学習に至るまで、学園としての一貫教育を、いまの時代に合わせながら、どんどん進化させていきたいと願っています」

忘れられないインドネシアで見たジャングルの美しさ

【植物学者】幼少期から外で遊ぶのが好きだったが、中学時代に「ハイキングに行くから」と誘われて生物部へ入部したのが植物について学ぶきっかけとなった。日本女子大の家政理学科進学の際は「受験科目が英数国で理科がなかったのでラッキーでした」と笑う。シダ植物・種子植物の進化形態学分野での第一人者となり、今年3月に女性の研究者として初めて日本植物分類学会賞を受賞した。

【調査旅行】植物の海外調査旅行は35歳で行ったインドネシアから2004年のカメルーンまで通算16カ国。当時の経験が、理事長としての学校経営でも役立ったという。「決断が早い。また論理立てて整理をするのが得意な点は、研究者の良かった部分が生かされたと思います」

印象的だったのはインドネシアで見たジャングルの美しさだという。「ジャングルって足を踏み入れられないような濃密なイメージだと思いますが、それは二次林の場合で、本来、植物の種類は多様でかつ下生えも少なくきれいで、周りを見渡すと同じ種類の植物が1本もないぐらい。いまでも、ときどき何もかも忘れて『あのジャングルのなかに行きたい』と思います」

【手放せない一品】マラリア原虫の顕微鏡写真。1993年にニューギニアへの調査旅行から帰国後、マラリアを発症した。「42度の熱が続きましたが、幸運にも『熱帯熱マラリア』ではなく『3日マラリア』で助かりました。退院時、病院の医師にお願いして、血球中にいる多くのマラリアの原虫の顕微鏡写真をもらいました。勲章のようなものです」

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