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BOOK 作家・新庄耕さん 人は深層で騙されたがり、不動産が持つ〝魔力〟に心奪われる 話題呼んだ前作からスケールアップ『地面師たち ファイナル・ベッツ』

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月28日 10時0分

(酒巻俊介撮影)(夕刊フジ)

地面師とは、不動産所有者になりすまして土地を売却し、巨額の代金をだまし取る詐欺師のこと。新庄耕さん原作の『地面師たち』はNetflixで映像化され、大きな話題を呼んだ。続編となる本作はさらにスケールアップ。シンガポールのカジノで幕をあけ、北海道・釧路へとなだれ込む。なぜ人は騙し騙されるのか。なぜ人は、地面師にかくも惹きつけられるのか。

シンガポールで〝閃き〟

──副題の「ファイナル・ベッツ」はカジノ用語で「最後の賭けをしてください」の意。冒頭から、手に汗握るギャンブルが展開します。なぜカジノでシンガポールだったのでしょう

「前作のラストで、地面師のボス・ハリソン山中がシンガポールに逃げたので、続編をやるならシンガポールからだなと。そもそもは前作で力を出し切っていて、続きを書くつもりはなかったんです。が、映像化が決まり、やるしかないという空気に包まれていきまして…。何のアイデアもないので、とりあえずシンガポールに取材に行くかと。ベタにマリーナベイ・サンズに行ってアジア最大級のカジノを見ると、これを出さない手はないと思いました」

──バカラで全財産を失った稲田はハリソン山中に出会い、地面師にスカウトされます。Jリーグを解雇された問題児・稲田のキャラクターをどう作っていきましたか

「前作で稲田に当たるのが辻本拓海なのですが、彼は陰惨な事件によって闇堕(お)ちした人間です。だから重たいものを背負っている。その反対のキャラクターにしようと考えました。明るくて、おバカさんで、お茶目にと。その結果に、ハラハラする場面を引き起こすいいキャラになりました。前作から離れる、というのは、あらゆる点において今作の前提にしました。前作はベテランの男性刑事を出したので、今作は若い女性刑事にするなどですね」

──一方、前作から共通して出てくるのが大物地面師のハリソン山中です。ドラマで豊川悦司さんが好演&怪演されている、底知れないこの男のイメージは

「拓海に救われてほしいと思っていたので、彼が騙されたとしても、この人ならいいだろうと思えるような格のあるボスを作らなければいけない。それが前作で考えていた出発点でした。書く前はあれこれ考えて、例えば『羊たちの沈黙』のレクター博士や、ある殺人事件の犯人をイメージしたりもしたのですが、書いているうちに頭で描いた像はすべて消えていって、気づいたら、〝ハリソン山中がそこにいた〟という感じです」

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