岩田明子 さくらリポート 与党過半数割れの〝混乱期〟こそ有効活用を 7日の両院議員懇談会、自浄作用試される自民党 首相に居座る石破氏の自己矛盾
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月6日 6時30分
衆院選後の政界が混乱している。単独はおろか、公明党との連立与党でも過半数(233議席)を維持できなかった自民党は、国民民主党と政策ごとに連携する「部分連合」を模索している。予算案や法案の成立に野党の協力が必要となるためだが、成否は定かでなく、安定した政権運営への道を見いだせていない。
自民党にとっては、7日に予定されている両院議員懇談会が1つのヤマ場となる。
石破茂首相(自民党総裁)率いる執行部は、衆院選で誤った戦略を打ち出して惨敗した。派閥裏金事件ですでに党の処分を受けた衆院議員の一部を改めて「非公認」「比例重複を認めず」とした結果、「裏金問題」がことさらにクローズアップされ、問題を追及する野党を勢いづかせてしまった。
自民党の歴代首相は、「中間テスト」的位置づけの参院選に惨敗したときでも責任を取って身を引いてきた。橋本龍太郎首相は1998年7月12日の参院選で大敗すると翌日に退陣を正式表明し、安倍晋三首相も2007年7月29日の参院選で敗北を喫した後、同年9月12日に辞任を発表した。
石破首相は今回、「政権選択」の意味合いが強い衆院選で「国民の信」を得ることができなかった。「国政に空白をつくることを避ける」という事情はあるにせよ、「国民の審判」を無視した「居座り」はいかがなものか。石破首相は就任前、歴代首相にケジメを求め続け、自民党総裁選や衆院選では「ルールを守る」と強調した。自らが勝敗ラインに掲げた「自公与党での過半数維持」を達成できなかったのに、首相の座にとどまろうとするのは、自己矛盾ではないか。
7日の両院議員懇談会は本来であれば、石破首相や森山裕幹事長に対し、衆院選での戦略ミスや責任の取り方について、出席者から厳しい意見が出てしかるべきだ。単なる「ガス抜きの場」になったとしたら、自民党の状況は深刻だ。その意味で、自民党に自浄作用があるかを試される場となる。
自民が進める国民民主との協議にも課題が残る。
国民民主は、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の金額引き上げを求め、玉木雄一郎代表は10月31日、「全くやらないなら当然、協力できない。その時は予算も法律も通らない」と述べ、牽制(けんせい)した。
「103万円の壁」問題を含む国民民主の「手取りを増やす」という政策はぜひ実現すべきテーマだと思う。ただ、具体的財源をどうするかについて財務省側の抵抗が予想されるだけに、自民と国民民主の間に政調レベルの常設機関を設け、実現に向けた丁寧なやり取りの機会を増やすべきだったと感じる。
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