トランプ大統領「再エネ」撤回、石破政権に〝踏み絵〟か すでに他国の「脱炭素」に横ヤリ 化石燃料を同盟国に供給し中露に対抗
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月22日 15時30分
ドナルド・トランプ米大統領は20日、「国家エネルギー非常事態」を宣言する大統領令を出した。石油や天然ガスなど化石燃料を増産し、エネルギー価格を低減することでインフレを克服する狙いだ。再生可能エネルギーへの移行を経済成長の柱としたジョー・バイデン前政権からの路線転換を鮮明にした。トランプ氏はすでに他国の脱炭素政策にも横ヤリを入れている。再エネの導入や二酸化炭素(CO2)削減に意欲を示す石破茂政権も政策変更を突き付けられる恐れもある。
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トランプ氏は大統領就任演説で「米国はどの国よりも大量の石油と天然ガスを持っている。ドリル・ベイビー・ドリル(資源を掘りまくる)」と強調した。
エネルギー非常事態宣言で、国家・経済安全保障のために、西海岸や北東部、アラスカでのエネルギー供給などの促進に利用可能な全ての合法的な緊急権限を使用するとした。
同日に署名した大統領令では、連邦政府の管理下にある大西洋や太平洋などの海域で原油や天然ガスの新たな掘削を禁止した前政権の覚書も取り下げた。
トランプ政権は次期エネルギー長官に石油や天然ガスの採掘会社を経営するクリス・ライト氏を起用した。化石燃料の増産を主導する役割を担うとみられている。
エネルギー政策に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は「トランプ氏は1期目は必ずしも思い通りにできず、閣僚にも反対する人がいた。2期目は次を考える必要もないので、やりたいことをやるだろう」とみる。
また、電気自動車(EV)普及策を撤回し「自動車産業を救う」とも主張した。「数年前には夢にも思わなかったペースで、再び米国で自動車を生産する」と話した。豊富な資源を後ろ盾に競争力を高めて「再び製造業の国になる」とも語った。
トランプ政権のエネルギー政策をめぐっては、安価で安定したエネルギー供給によって敵対国に対する優勢を築く「エネルギー・ドミナンス(支配)」戦略を打ち出している。
杉山氏は「化石燃料を掘削し同盟国に供給することで、米国経済も発展し、ロシア、中国に負けないようにするという狙いだろう。原子力も推進するはずだ。トランプ氏は再エネがあまり好きではなく、風力もコストが高くなるため嫌っている。EVに関しても、国家レベルでの補助金を大幅に削減する方向性になる」と予測する。
バイデン政権時に復帰した気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」を再び離脱する大統領令にも署名したが、さらに踏み込んでくる可能性があるという。
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