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政治の混迷と民間企業の飛躍、トヨタの強さを解き明かす EV、中国進出めぐる慧眼…「正しい判断」の背景にある〝真の日本型経営〟

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月15日 6時30分

安倍晋三元首相(夕刊フジ)

国際投資アナリスト・大原浩氏寄稿

国際情勢が混迷を深め、日本政治も安倍晋三元首相の不在の穴は埋まらないままだ。「政府や官僚」らが目先の問題に振り回されるなかで、長期的視野を持って世界に飛躍しているのは「民間」だと国際投資アナリストの大原浩氏は指摘する。大原氏は寄稿で、トヨタ自動車に代表される日本企業の強さの秘密を解き明かす。

2022年7月の安倍元首相暗殺事件以降の日本政治の混迷ぶりは目も当てられない。米国でも共和党のドナルド・トランプ前大統領の暗殺未遂事件が2回もあり、大統領選で民主党、共和党どちらが勝利しても米国は「第2次南北戦争」に突入するのではないかと多数の米国民が恐れている。

ウクライナ戦争解決のめどは立たず、中東の紛争も拡大方向だ。世界の地政学リスクの高まりは明らかだ。衆院選の結果が日本を良い方向に導くことを心から願っているが、現状は五里霧中だ。

政治の世界では海外に劣らず劣化が著しい日本だが、民間分野は「失われた30年」とも呼ばれる雌伏の時に耐えながら羽ばたこうとしている。

特に「真の日本型経営」を維持し続けた日本企業の躍進が著しい。例えば、信越化学工業やトヨタ自動車だ。

トヨタは株式時価総額が約40兆円と国内で2位以下を大きく引き離している。豊田通商やデンソーなどグループ企業や、出資・提携関係にあるマツダ、スバル、スズキ、いすゞなどの自動車メーカーまで含めれば、「日本経済を支えている」と言っても過言ではない。

トヨタが日本の枠を飛び越えて世界ナンバーワンの自動車メーカーとなったのは偶然ではない。

目先の利益を最大限に追求するのが米国型経営であるのに対して、日本型経営では「(小さな)目先の利益を捨てても(大きな)長期的利益を選ぶ」所に特徴がある。

分かりやすいのが「全面電気自動車(EV)化騒動」における対応であろう。政府や官僚の圧力、さらには偏向したメディアのバッシングにも惑わされずに「多様化路線」を貫いた。現状をみれば、ハイブリッド車(HV)などを含めたトヨタの路線が正しかったことは火を見るよりも明らかである。

中国進出においてもメディアから「出遅れている」と批判された。だが、現在の中国の状況を考えれば、トヨタが「独特の政治リスク」を懸念していたのは慧眼であったといえよう。

なぜ、トヨタはこのような「正しい判断」を下せるのであろうか。「なぜなぜ分析」と呼ばれる、「質問を繰り返しながら『本質的原因』を見つけ出す」手法によって、「本質的問題」に遡(さかのぼ)って考えるからだ。

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