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ぴいぷる 俳優・樫山文枝 演じて60年、能登が教えてくれた〝原点〟 初舞台「アンネの日記」は宇野重吉宅まで押しかけ

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月11日 11時0分

樫山文枝(夕刊フジ)

多くの人々の生きてゆく歓びと励ましになるような、民衆に根ざした演劇芸術をつくろうと、1950年に旗揚げされた劇団民藝。それを体現し演じ続けてきて60年がたつ。

28日から東京・新宿の紀伊國屋サザンシアターで上演される新作舞台「ミツバチとさくら」が民藝での60作目の出演となる。

「頑張ってきたなぁ」とその道のりを感慨深く振り返るが、初舞台だった「アンネの日記」(64年)は「どうしてもやりたくて自ら飛び込んだ」ヒロイン役だったと明かす。

「まだ民藝の俳優教室2年目でしたが、宇野(重吉)先生のお宅にうかがいました。不在でしたので、奥さまに『アンネの日記をやりたいんです』って言ったら、胸いっぱいで涙が出てしまい、『失礼します』と言って帰っちゃったんです。翌日、宇野先生が『勉強させてあげる』と言って、稽古の片隅にいさせてくれました。そして本役の人(最初に役を与えられた人)ができなくなり、急遽(きゅうきょ)私がすることになったんです」

1年に1本、新作に出演しているが、今作では結婚を機に教師を辞め、4人の娘を育てた専業主婦・松永邦子を演じる。樫山にとって初めてと言っていい昭和の家庭のお母さん役だ。

長女と次女は独立、6年前に夫を亡くして、邦子は離婚した三女と結婚する気のない四女と暮らす。娘たちの行く末や母の老後を心配し合い、邦子が夫の親友からの申し出に戸惑うなど、人生100年時代を生きる家族を温かくユーモラスに描く。

「劇団民藝は女性の出番がやや少ないですが、今回は元気な女性がいっぱい出てきます。若い人に任せながらも、ちゃんとすっくと立っているポジションで通してみようかと思っています」

民藝入団60年だった昨年の新作「ローズのジレンマ」が好評で、2027年までオファーが入っている。

「大先輩も高齢まで頑張っていらっしゃったから、滝沢(修)先生や奈良岡(朋子)さん、大滝(秀治)さんの姿を思い浮かべて。大滝さんが『もう駄目だと思ったり、まだやれると思ったり』と色紙に書かれていたのを実感しています」

民藝の代名詞ともいえる旅公演も好評で、篠田三郎との朗読会「文学の夕べ」では、能登など大規模な演劇ができない被災地もめぐっている。

「自分たちの仕事の原点を見つめ直させてもらっているような、そんなエネルギーも感じ、やり続けようと思います。同じくらいの年齢の方が『元気が出ました』『私も頑張ろうと思いました』と言ってくださるんです」

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