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実録・人間劇場 アジア回遊編~インド・ネパール(12) 「なあ、ジキジキどうだ?」 世界的に有名な宗教都市・バラナシにもある置き屋街

zakzak by夕刊フジ / 2024年5月10日 15時30分

人とバイクと牛しか通れない路地=インド・バラナシ(夕刊フジ)

インド北東部のコルカタから北部バラナシまで列車で移動する。チェンナイからコルカタまではエアコンのないGNクラスという最下層の列車で30時間の移動だった。

そのときに得た教訓をもとに、今回はエアコン付きの寝台を予約したのだが、これが快適だった。車内で小説を1冊読み終えてしまったのでそれなりに長い時間乗っていたはずなのだが、快適なので時間も気にならない。料金もそこまで上がることはないので体をいたわる気があるのなら、インドの列車移動はエアコン付きの寝台1択だろう。

バラナシの駅に着いたのは深夜だった。翌朝の便を待っているのか、地面に布を敷いて寝ている人たちがたくさんいる。ただ、到着した人たちにその必要はない。すでに「タクシー、タクシー」と客引きがまとわりついているからだ。そのうちの1人を捕まえて、ガンジス川沿いにある中心部に移動することにした。

バラナシはヒンドゥー教だけではなく、仏教の聖地でもある。多くの巡礼者が集まる神聖な宗教都市であるわけだが、タクシーの運転手は下品な男だった。私がスケベなことを考えている顔をしていたからかもしれないが、いきなり女の話だ。

「なあ、ジキジキどうだ? 俺ならいくつも知っているから連れて行ってやる。ウヘヘ…」

「ジキジキ」とは性行為を指す言葉である。主に南アジアで使われている言葉だが、東南アジアだと「ブンブン」になる。どちらにしても聞くたびに幻滅する下品な響きだ。ストレートに「セックス」と言ってくれた方が、客もその気になるんじゃないかと毎回思う。

それにしても、バラナシという世界的に有名な宗教都市にすら置き屋(風俗)街が存在することに私は驚きを隠せなかった。インド人、外国人問わず多くの人が外から流れ込んでくる街だ。また、そういった人たちに向けて商売をするために集まっている人たちもいる。売春が街に定着するのも当たり前かもしれない。

バラナシの街は迷路のように入り組んだ細い路地が無数に張り巡らされている。私がネットで予約した宿はガンジス川沿いのそんな細い路地にあるのだが、とてもじゃないがタクシーでは入っていけない。大通りで降ろしてもらい、グーグルマップを頼りに歩いて宿を探すことにした。

映像では何度も目にしたことがある街だが、そこにはいつもたくさんの人が映っていた。しかし、深夜のバラナシは静まり返っていた。客引きふくめて誰一人歩いていない。

迷い込んで出られなくなってしまうのではという不安を抱きながら迷路をひたすら進んでいくと、前方に野良犬が数匹集まって眠っている。

「ウウー…」

野良犬たちが一斉に私に向かってきた。

■國友公司(くにとも・こうじ) ルポライター。1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術学群在学中からライターとして活動開始。近著「ルポ 歌舞伎町」(彩図社)がスマッシュヒット。

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