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迷走する「石破外交」中国・習氏は片手なのに両手で包み込む〝媚びへつらう姿〟発信 国際会議での「引きこもり」姿勢に懸念も

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月28日 15時30分

もっと気がかりなのは、マルチ(多数国間)の国際会議が始まる前に、自席でスマホをいじり書類をのぞき込むだけで、他の出席者と交わろうとしない「引きこもり」の姿勢だ。

「拘束日本人の釈放」要求するべきだ 岩屋外相訪中調整前に

国際会議は、国益と国益がぶつかり合う真剣勝負。その前には、他国の出席者によしみを通じて情報・意見交換に努め、日本の立場への支持を頼んでおく、というのは基本だ。

石破首相は、防衛庁長官や防衛相時代に何度も国際会議に出ていたはずだ。「知らない」とは言わせない。

SNS上では、「なぜ外務官僚が『ご起立を』と進言しなかったのか」という過保護な指摘が散見されるが、そんな基本さえわきまえていない人物を首相に戴(いただ)いた不幸こそ嘆くべきだ。

こんな腰の引けた外交姿勢と対極のものとして不可解なのは、中国の習近平国家主席との会談の際、相手が片手しか差し出していないのに、石破首相は相手の手を包み込むように両手で握手した。

さもしいまでの醜態だ。旧知の相手との再会に感激して互いに両手を取り合うなら許せよう。だが、日本の領土を脅かし、領海・領空を侵犯し、複数の日本人を拘束し、児童を惨殺した中国の首脳だ。なぜ、地元の有権者に一票を媚びるかの如くすがりついたのか?

日本国民のみならず第三国も見ている。阿諛追従(あゆついしょう=相手に気に入られようと、媚びへつらうこと)に走った印象を決して与えてはならないのだ。

箸の使い方、握り飯のほおばり方にとどまらない、暗澹(あんたん)たる気持ちを抱いたのは私だけだろうか?

そんな「石破外交」を見て、中国は早速揺さぶりに来ている。

その最たるものが、日本との相互主義を求めていたにもかかわらず、一方的に「短期訪問者のビザ免除」に踏み切ったことだ。分かりやすいほどの合従連衡だ。

中国外交には、対米関係が悪化すると日本に秋波を送る傾向がある。1989年の天安門事件後、西側諸国がとった厳しい対中制裁措置を切り崩そうと、日本に熱心に働きかけ、天皇陛下訪中まで活用したことは記憶に新しい。

トランプ次期政権の厳しく予測不可能な外交に、中国は身構えている。わずか5分の電話会談を見て、日米同盟に楔を打ち込み、日本を取り込む好機と一気呵成(いっきかせい)に出てきたのは驚くにはあたらない。

問われるべきは日本の対応だ。

中国のビザ免除に対しては、「在留邦人の安全確保」と「拘束日本人の釈放」こそ要求するべきだろう。いわんや、米国にさえ足を運ぼうとしない岩屋毅外相は年内訪中を調整しているという。石破首相の訪中や、習氏訪日を念頭に置いているとすれば論外だ。

吏道(りどう=官僚として守るべき道)を歩み、辞表を胸に進言する外務官僚は一人もいないのだろうか?

山上信吾(やまがみ・しんご) 外交評論家。1961年、東京都生まれ。東大法学部卒業後、84年に外務省入省。北米二課長、条約課長、在英日本大使館公使。国際法局審議官、総合外交政策局審議官、国際情報統括官、経済局長、駐オーストラリア大使などを歴任し、2023年末に退官。現在はTMI総合法律事務所特別顧問などを務めつつ、外交評論活動を展開中。著書に『南半球便り』(文藝春秋企画出版)、『中国「戦狼外交」と闘う』(文春新書)、『日本外交の劣化 再生への道』(文藝春秋)、山岡鉄秀氏との共著に『歴史戦と外交戦』(ワニブックス)=写真。

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