森永康平の経済闘論 株価動向に〝一喜一憂〟してはいけない 日経平均、今年最大の下げ幅 新NISAへの影響に懸念、急落時こそ基本に立ち返る
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月25日 6時30分
19日、日経平均株価は前日比1011円35銭安と大幅に反落して取引を終えた。3月11日に記録した868円安を超えて今年最大の下げ幅を記録することとなった。
SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が続落したことで日経平均を押し上げてきた半導体関連株が急落したことに加え、取引時間中にイスラエルがイランへ報復攻撃をしたというニュースが流れたことで日本の株式市場の下落は加速し、日経平均は一時、3万7000円台を割り込んだ。
今年は年初から日経平均は順調に上昇し、3月22日には4万1000円を超えていたこともあり、新NISA(少額投資非課税制度)を契機に今年から投資を始めた個人投資家にとっては初めて体験する下落局面かもしれない。
日経平均が史上最高値を更新して以降、世界的に見ても強い日本の株式市場を「バブル」と評する声も多かったため、今回の下落局面をバブルが崩壊したと見る向きもある。新NISAなんてやらなければよかった、という声もあるだろう。
しかし、そもそも日本の株式市場はバブルなどではなく、今回の下げも地政学リスクの拡大を懸念して一時的に売りが出たに過ぎず、今回の報復攻撃をもってイランとイスラエルの両国が手打ちとすれば再び株価は戻っていくだろう。
新NISAでは多くの個人投資家が毎月特定の投資信託を一定の金額で定期的に買い付ける「つみたて投資」を実践していると考えるが、急落を伴う下落局面を迎えると、つみたて投資をやめてしまう個人投資家は少なくない。そうすると、かなり高い確率で損失を出したまま投資をやめることになってしまう。
株価というのはだいたいジワジワと時間をかけて上昇し、ある時にガツンと急落局面を迎え、再びジワジワと上昇していくものだ。つみたて投資をしていると、株価がジワジワと上昇していくときは安心感があるかもしれないが、それは実は平均買付単価が上昇していくことを意味しており、そうなると少し下がっただけで損が出やすくなる。逆に大きく下がったときにも淡々と買い付けることで、平均買付単価が下がり、上昇時に利益が出やすくなるのだ。
つみたて投資の基本は「長期、分散、積立」の3要素だ。相場の急変時にこそ基本に立ち返ってもらいたい。
森永康平(もりなが こうへい) 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。
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