わが社の「健康経営」 サントリーホールディングス(3)「65歳定年制」と健康維持問題の解決 経営トップが健康リスク予防に理解、施策を実行に移しやすい
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月30日 15時30分
先進国はどこも少子高齢化が進行中だ。日本でも生産年齢人口(15~64歳)の割合が減り、将来の働き手不足が深刻な問題になっている。人工知能やオートメーションなどの機械化でも全て補うことは難しく、企業の生産性の低下につながる。一方、高齢者が増えると医療福祉といった社会保障の負担は重くなる。この状況を打開するのが、60代でも健康で優れた能力を発揮する従業員の存在だ。そんな人材を増やそうとしているのが、サントリーホールディングスである。
【労働生産性の向上に】
近年、60歳の定年後に65歳まで再雇用する企業が増えた。厚労省の「65歳超雇用推進助成金」の制度もある。だが、年齢が高くなるにつれ、体力は落ち、病気発症のリスクも高くなるからと、企業によっては渋々、参入というところも。
「当社は2013年に正社員としての雇用を65歳まで延長する『65歳定年制』を導入しました。65歳まで正社員でこれまで通りに働けるという安心感、離職率の低下、優秀な人材の確保になると考えています。結果、労働生産性の向上につながりメリットは大きい」と、同社グループ健康推進センター池田美紀部長は話す。
一般的に55歳を過ぎると医療費負担が増えるといわれ、60歳で定年した後、生活環境の変化でメンタル不調に陥る人もいる。60歳定年は、体の不調の引き金になることがあるのだ。65歳の定年は打開策の一助になる。同社は、2020年には65歳以降の再雇用制度も導入したという。
「創業時から人的資本(人材投資)を行ってきた企業風土から、経営トップの健康経営の関心も高い。将来の健康リスクを予防する重要性をトップが理解し、必要な施策を実行に移しやすいのです」(池田部長)
【グループ企業も同じ運用でカバー】
大きな企業は65歳定年制度や、健康経営を実施するだけの基盤を持っている。だが、中小企業では費用がかさみ、制度を作る労力も必要なため簡単にはいかない。
生命保険会社の調査では、大企業の半数以上が健康経営を実施しているが、中小企業は約3割にとどまる。この状況を変えようとしていた。
「当社の健康経営は、方針だけでなく運用もグループ企業全体をカバーしています。サントリーグループには、中小規模の会社がたくさんあります。グループ健康推進センターが健康診断や推進施策など中心となって行うことで、各社それぞれも、サントリーグループ全体も、経済効果が高いと考えています」(池田部長)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
harmo、ドライバーの健康リスクを可視化し、最適な解決策を提案
PR TIMES / 2024年11月5日 11時15分
-
銀行の言うことなんて高尚すぎで分からねぇよ…月収27万円・60歳再雇用サラリーマン、給与4割減の補填に「退職金全額投資」も大後悔
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月29日 5時15分
-
夫の会社は55歳が「役職定年」です。役職の肩書がなくなると年収はどれくらい下がるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月22日 5時0分
-
50代前半の会社員で定年退職後も働きたいと考えています。働き方として「再雇用」「再就職」「起業」の3つがありますが、それぞれの特徴はなんでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月20日 23時0分
-
70歳定年の時代に? 長く働くためにできること
オールアバウト / 2024年10月17日 8時10分
ランキング
-
1結局「セブンの弁当は“上げ底”」は本当なのか? 3大コンビニの容器を比べて分かった「明らかな違い」
女子SPA! / 2024年11月6日 8時46分
-
2これならできる!「1000万円貯蓄」がある人の習慣4つ
オールアバウト / 2024年11月5日 21時40分
-
3「頭が痛くて割れそう!」耳から出てきたモノに仰天 10年間綿棒でキレイにしていたのに…耳鼻科医「同じ症状の患者さん多い」
まいどなニュース / 2024年11月6日 6時50分
-
4東京に「座るにも金が要る街」が増えた本質理由 疲れてもカフェに入れず途方に暮れるあなたへ
東洋経済オンライン / 2024年11月6日 8時30分
-
5市場は「トランプ氏が勝利」と予想? 米大統領選後のドル・株・金利はどうなるか
マイナビニュース / 2024年11月6日 7時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください