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BOOK R-1史上初のアマチュアファイナリスト、どくさいスイッチ企画さんがひたむきに綴った60編『殺す時間を殺すための時間』

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月18日 10時0分

――作品に対してのこだわりはありますか

「話の展開に無理がないようにと考えています。読者が『そうはならないだろう』と離れていくことがないよう意識しています」

――お気に入りの作品は

「書き下ろしの『ギャルの遺言』。タイトルは編集者さんの発案で、落語の『三題噺』のように、タイトルを題材にストーリーを生み出しました。ちょうどアイデアが浮かんでこない頃で、編集者さんから背中を押してもらった作品。また、お笑い芸人の話『だいさくせんズについて』、創作落語の『惚れ薬』も思い入れがありますね」

――現在、芸人と作家との二足のわらじ生活

「これまでいくつかの分岐点がありましたが、会社を辞めて拠点を東京に移し、やりたかったお笑いをメインにして半年以上が過ぎました。本を出すという人生の目標も達成できましたし。これからは、自分が売れてその効果で本も売れるとか、この本が売れて、どくさいスイッチ企画は誰だという形で本に引っ張ってもらって、いずれは長編小説に向けて短編のストーリーを積み重ねていきたいですね」

■17歳の少年が〝殺し〟を胸に誓い準備を進める「こじらせた殺意」はちょっと切なく、インディーズ芸人の世界をほのぼのと描く「だいさくせんズについて」は優しくあたたかい。落語の世界から飛び出してきたような死神が、余命を決めるロウソクをなくしてしまう「いのちの炎」など、バラエティーに富んだ奇妙な味の超短編集。作品ごとに変わるブックデザインもお見逃しなく。

KADOKAWA・1650円(税込み)

■どくさいスイッチ企画(どくさいすいっちきかく) 1987年、神奈川県生まれ。37歳。お笑い芸人。大阪大学在学中は落語研究会に所属。2010年「全日本学生落語選手権・策伝大賞」受賞。卒業後は会社員と並行しながら創作落語とひとりコントを中心に活動。13年の「社会人落語日本一決定戦」、「全日本アマチュア芸人No.1決定戦2023」で優勝。24年「R―1グランプリ」の決勝に進出し4位。現在は、お笑いができる会社員からコントができる作家として活躍中。

取材・高山和久

撮影・酒巻俊介

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