令和を変える!関西の発想力 万博が好機!関西から瀬戸内へ「豪華バス」戦略で地方創生 「日本のエーゲ海」に着目、内装を欧州の古城や王室を彷彿
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月10日 15時30分
2025年が始まりました。春には「大阪・関西万博」が開幕します。さらに同時期、中国四国地方では「瀬戸内国際芸術祭」が幕を開けます。つまり今春から約半年間、関西から瀬戸内方面へ向かう外国人観光客が増えると予想されます。
このニーズをいち早くゲットしようと、神姫バス(兵庫県姫路市)が関西と瀬戸内を結ぶ豪華バスの運行を始めました。すでに昨春から実証実験として各種ツアーを行っており、その成果を踏まえて2月からは、関西と瀬戸内を結ぶ路線バスとして運行する予定です。
メインターゲットはヨーロッパから来る観光客。瀬戸内海が「日本のエーゲ海」と言われることに着目し、豪華バスの車内から実感してもらおうと、内装を欧州の古城や王室を彷彿させるラグジュアリーなデザインに統一しました。
さらに欧州諸国が熱心なSDGsも重視。豪華バスに運行時のCO2排出量をゼロにするJ―クレジットを付与し、名称も「YUI PRIMA OLIVIA(ユイ プリマ オリビア)」と豪華イメージを強調しました。
しかしなぜ、兵庫県のバス会社が、これほど凝った豪華バスを作って、瀬戸内方面へ「路線バス」を走らせるのでしょう。今年だけの特需であれば、観光バスのツアー企画で十分なはずです。
神姫バス社長の長尾真さんは「西日本全体を活気づけたいからです。そのために、関西に集中しているインバウンドを瀬戸内へ送り込む仕組みが必要と考えました」と言います。
具体的には、瀬戸内地方の観光施設やバス会社と連携して、路線バスだからこそ設置できる「バス停」を拠点に、地域全体へインバウンドを送り込む導線を作りたいのだそう。確かに現在、京都や大阪に集中している外国人観光客を路線バスで瀬戸内に送り込めば、西日本全体の持続可能な発展につながるでしょう。
万博と瀬戸内国際芸術祭の開催時期が重なる今年が絶好のチャンスになることもうなずけます。
すでに同社は昨年末、イタリアの旅行社を豪華バスで関西から瀬戸内地方へ案内しており、今後もフランスやドイツ、イギリスの旅行社を案内する準備を進めています。
見据えるゴールは万博後、関西と瀬戸内の周遊ツアーがインバウンドに定着すること。京都や大阪のオーバーツーリズム対策にもつながりそうです。これぞまさに、バスならではの地方創生ですね。今後が楽しみです。 (地域ブランド戦略家・殿村美樹) =隔週木曜日掲載
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