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「中国より悪」米鉄鋼CEO〝大暴言〟日本は「1945年以来、学んでいない」USスチール買収に割り込み 無策の石破政権、国益損ねる恐れ

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月15日 15時30分

名指しで批判された石破首相はどう対応するのか(夕刊フジ)

日本製鉄によるUSスチールの買収計画に、米鉄鋼2位のクリーブランド・クリフスが割り込んできた。同社のローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は米時間13日の記者会見で「日本は中国より悪だ」「1945年以来、学んでいない」など理解不能の暴言を繰り返した。日鉄に劣る買収条件を提示して脱落した経緯がある同社だが、ドナルド・トランプ次期米大統領の歓心を買うことで買収を成功させたい狙いもうかがえる。ゴンカルベス氏はさらに、買収禁止を命じたジョー・バイデン大統領に「懸念」を伝えた石破茂首相に対しても「同じ要求をトランプ氏に繰り返してもらいたい」と挑発した。買収計画は政治問題の色を強めており、石破政権が無策のままでは日本の国益を損ね、日米関係の悪化を招きかねない。

ゴンカルベス氏は記者会見で、「中国は悪い。中国は邪悪だ。中国は恐ろしい」と述べつつ、「しかし日本はもっと悪い。日本は中国に対してダンピング(不当廉売)や過剰生産の手法を教えた」と言及した。

日鉄が中国国有の宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄と合弁を組んでいたことを批判したものだ。2024年に合弁を解消したが、中国からの安価な鋼材が米国の鉄鋼業を衰退させたと強調する狙いだ。

ゴンカルベス氏は第二次世界大戦を引き合いに「世界が平和になるにはわれわれの血を吸うのをやめないといけない。1945年以来、われわれの実力を学んでいない。日本は自分が何者であるか理解していないことを自覚すべきだ」と日本批判を展開した。

こうした暴言について、経済安全保障アナリストの平井宏治氏は「言いすぎで、不愉快な面もある。ダンピングも中国の国家資本主義の中で行われ、日本が教えたことではないので事実誤認だ。一方で、技術に関しては、日鉄は宝武鋼鉄と協力してきた背景もあり、日本は痛いところを突かれている」と指摘する。

前駐オーストラリア大使で外交評論家の山上信吾氏は「1980年代の日米貿易摩擦の時代に先祖返りしたのかとショックと憤りを覚えた。『日本は中国よりも悪い』というのは言語道断だ。日本は同盟国で中国は競争相手という区別もない。時代錯誤と偏見に満ちている。日本は今回の発言を看過せず、猛烈に反応しなければならない」と話す。

ゴンカルベス氏はブラジル出身で、米国に移住し、鉄鋼・鉱業関連企業の経営者などを務めた。2014年にクリーブランド・クリフスのCEOに就任後、国内企業の買収を繰り返して成長させた。米国鉄鋼協会の会長も務める。

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