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日本の解き方 日銀の物価安定目標「0%超」に 立憲民主党、金融政策の弊害〝実質賃金上昇〟とも矛盾、雇用確保に「2~4%」を目標とすべき

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月12日 10時0分

立憲民主党は衆院選に向けた公約で、「新しい金融政策」への転換として、日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として、「実質賃金の上昇」を掲げるとしている。立憲民主党の狙いはどこにあるのか。0%超を目指すと実際に何が起きるのか。

安倍晋三政権が掲げたように政府・日銀の共同目標に着目するのはいい。問題はその中身だ。一般的に、インフレ率と失業率の間には「フィリップス曲線」と呼ばれる比較的安定した関係があるので、共同目標としてインフレ率とともに失業率を掲げることが考えられる。

ただし、失業率は景気に対して遅れて動く「遅行指数」であるために政策目標として現実問題として具体的な数値を掲げるのが困難なので、先進国の中でも数値目標ではなく、「雇用の確保」などの定性的な目標になっている。

もともとフィリップス曲線は名目賃金上昇率と失業率の間から発見されたので、名目賃金上昇率と失業率を共同目標とすることも考えられる。であれば、先進国では先例はなく、かなり野心的であるが、一応筋は通っている。

実質賃金上昇率は、名目賃金上昇率からインフレ率を控除したものであるので、仮に名目賃金上昇率と失業率を目標とするならば、実質賃金上昇率とインフレ率も目標とできると立憲民主党が考えてもおかしくはない。

しかし、過去のデータを分析すると、インフレ率が0~2%の場合、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。こうしたインフレ率において、実質賃金上昇率をプラスに設定することは実際問題としてはかなり難しい。

インフレ率が2~4%程度であれば、名目賃金上昇率はインフレ率を超えることが多いので、プラスの実質賃金上昇率を目標とすることには一定の合理性がある。

さらに、インフレ率が0~2%程度であると、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)に相当する2%台半ばをかなり上回ってしまう。国のマクロ経済政策の最優先は雇用の確保であり、まず最低水準の失業率を目指すべきだ。この点からも、インフレ率は「0%超」とするのではなく、「2~4%程度」を目標とすべきである。

0%超のインフレ目標には2~4%程度も含まれてはいるが、0~2%程度のインフレ率では弊害が大きすぎるので、目標としては2~4%とすべきなのだ。

石破茂政権も同じ傾向であるが、左派政党である立憲民主党は理念が先に出てしまう「ドリーマー」だ。もっと政策をリアルに考えなければならない。

最低賃金について、石破政権も立憲民主党も同じ1500円を目標としているが、石破政権は「2020年代を目指す」と実現困難な時期を掲げた。

立憲民主党は達成年限を明示しなかったのでまともかと思ったが、雇用政策である金融政策でボロが出てしまった。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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