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BOOK 古都とコロナが融合した奇想天外な舞台小説 作家・古川日出男さん『京都という劇場で、パンデミックというオペラを見る』

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月17日 10時0分

――コロナをオペラに結びつけた理由は

「パンデミックの初期に、イタリアで多くの人たちが亡くなって、ロックダウンの様子なども大々的に報道されましたよね。でも、ある街でみんながオペラのように歌い合ってお互いを励まし合っている映像を見て、イタリアでは自由のシンボルがオペラなんだと感じたんです。それでオペラをやらなくちゃ、と思いました」

――作中、三島由紀夫ではなくて、ニシマこと二島由紀夫が登場しますが

「小野篁と紫式部の二人の墓が並んでいたり、六道珍皇寺の境内には冥土通いの井戸と黄泉(よみ)がえりの井戸の二つの井戸があったり。そうした<二>という数が僕を導いて、三島由紀夫に現実世界を見てもらうには名前をいったんニシマにして、その上で作中のオペラで三人がそろい踏みで歌ったときに、ニシマが三島由紀夫に具現化されると考えました」

――古川さんにとって地獄とは

「現実世界で悪いことをしている人間が成功している、それがいやだから、悪いことをしているやつらは絶対にどこかで苦しめられるはずだとイメージする。自分以外の他人である人間たちが死後、永久に苦しむことを望み、求める場所が地獄だと思います」

『京都という劇場で、パンデミックというオペラを見る』

コロナ禍の観光都市・京都に、冥官・小野篁(オノ・タカムラ)が出現する。『源氏物語』の作者・紫式部(レディ・ムラサキ)と、3Dプリンタで作った三島由紀夫の仮面を被った青年・二島由紀夫(ニシマ)は金閣寺、京都水族館、ラーメン、フルーツサンドなど京都の観光名所とグルメを堪能しつつ、現実世界と物語世界を往還。やがて巨大オオサンショウウオに先導され、地獄の底へ向かう。作者の「僕」の所感も随所で語られて、奇想天外で壮大な人類史オペラが開演、展開する。

■古川日出男(ふるかわ・ひでお) 1966年福島県生まれ。58歳。1998年『13』で作家デビュー。『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞、日本SF大賞、『LOVE』で三島由紀夫賞、『女たち三百人の裏切りの書』で野間文芸新人賞、読売文学賞を各受賞。2005年『ベルカ、吠えないのか?』で直木賞候補。16年「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」の『平家物語』全訳が話題に。『平家物語 犬王の巻』『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』『の、すべて』『曼陀羅華X』『ゼロエフ』など著書多数。

(取材・たからしげる/撮影・相川直輝)

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